マイケル・ウィンターボトム監督『めぐり逢う大地』

昨日から台風がくると騒いでいたのだが午後の大雨と強い風が終わると静かな夜になった。月が見えるかもと窓を開けたが薄い雲がかかっていて今日の月見は無理だ。と思っていたら1時過ぎてから素晴らしい月が見られた。

晩ご飯を早めにすませて、また映画。まだあるマイケル・ウィンターボトム監督の「めぐり逢う大地」(2000)を先入観なしで見た。彼の監督ならきっといいはずだがタイトルが「めぐり逢う大地」とはなんだ。原題は「The Magdalene Sisters」。

はじまりは雪また雪の上に建っている小屋で妻と赤ん坊を渡して金を得る男のシーン。
1867年のカリフォルニア洲、キングダム・カムという町はかつてゴールドラッシュで金鉱を掘り当てた大金持ちディロン(ピーター・ミュラン)が支配している。荒っぽい男たちがいて酒場と娼館がある。娼館を経営しているのはディロンの情婦ルチア(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。
そこに来ているのが、西と東から鉄道を敷きアメリカ横断を夢見ている鉄道技師たちとリーダーのダルグリッシュ(ウェス・ベントレー)。彼らといっしょにエレーナ(ナスターシャ・キンスキー)と娘のホープ(サラ・ポーリー)がやってきた。エレーナは重病でホープがずっと看病している。
ルチアはホープがピアノを弾けるので舞台で自分が歌うときの伴奏をさせ詩を朗読させる。じっと聞き入るディロン。そのあとディロンはもう一度やりなおそうとエレーナに求婚する。ホープに実の娘だということは、妻と娘を売ったと言わねばならないとエレーナに言われて、黙ってホープを見守っている。ダルグリッシュとホープは惹かれあう。
鉄道技師たちは馬にダイナマイトの荷を引かせて山を登り鉄道を敷く場所を選んでいく。やがてキングダム・カムに鉄道を敷くことができないことがわかる。
鉄道が通るところに新しい町が建設される。
一代で富を築き最後はすべてを失ってしまうディロン。

昔の西部劇と同じような酒場と娼館が出てきたので懐かしい気持ちがわいたが、建物の外は深い雪なのですぐに消えた。
原作はトマス・ハーディの小説『カスターブリッジの市長』だって。わたしはハーディの作品は「テス」しか読んでない。それもうんと若いころだしあまり好きでなかったしで、いま検索してあらすじを読んできた。
この物語を鉄道建設の物語として映画化するってすごい。
ウィンターボトム監督の「日陰のふたり」と「めぐり逢う大地」と去年製作された「トリシュナ」(未見)。3本の映画がハーディ原作である。ハーディの小説を読みたくなった。