沈黙の贈り物「顔施」

だいぶ前に買った〈インドの生命科学〉『アーユルヴェーダ』という本を本棚の奥からときどき出して読む。いろんな体に良い食べ物のこと、白湯を飲め、体の動かし方、一日の過ごし方など、お節介といいたくなるようなこまごまとした記述がある。今度暇なとき読もうとつぶやいて雑誌置き場に積んだりして忘れてしまうのだが。

昨日またまた取り出して広げたところに〈顔施〉という言葉があった。「仏教の言葉で〈顔施〉(笑顔を与える)と呼んでいます。このような沈黙の贈り物こそ、パワフルなのです。」とある。まわりの人にしてもらったことを考え、次に自分が人にお返しする気持ちで与えること。
まあ、まあ、そんなに理由をつけなくても、お返しということでなくても、こちらから笑顔を差し上げたらよいのだろう。

いい言葉を読んだと思い、相方にそこのところを読んでやった。「ほらみてみ、あたしの笑顔、いつも顔施してるで」
最近、姉の連れのお年寄りに話しかけられてつい話し込むことがある。笑顔で相槌を打つと相手も笑顔になる。これも顔施じゃん(笑)。
本はこのあと難しくなるが、それはまた暇なときに読むことにして、今日はお休みなさい(笑顔)。
(上馬場和夫・西川眞知子 農文協 3900円)