池波正太郎『剣客商売 十巻 春の嵐』

第1巻は持ってなくて2巻から16巻まであるのを友人に譲ることにしたのだが、名残惜しくてつい読んでしまう。読み方が荒っぽいけど何度も読んだ本だから懐かしくなるような名残り惜しいような気分である。
最初から読みだして短編はそんなに未練が起こらなかったが、昨日読みだした「春の嵐」は長編小説である。力の入った作品で昨夜はほとんど徹夜で読んでいた。ただし明け方から昼ごろまでまた寝たけど(笑)。

江戸時代の話で主人公の父と子、秋山小兵衛と秋山大治郎と二人を取り囲む人たちの武勇と人情の物語である。情けないことに、わたしは日本歴史に弱い。田沼意次は悪人だとなんとなく思い込んでいた。この作品で田沼が先見の明をもった政治家であると知った。ああ恥ずかしい。それで日本史を勉強しようと思ったこともあったのにそのままでいまにいたっている。
いま、また『剣客商売』シリーズ 十六巻まで読み返して当時の世情を知り、その上でやさしい江戸時代の歴史解説本を読んでみようかなと思っているところ。

池波正太郎の本のいいところは食べ物や人情や江戸時代の武士や庶民のことについて勉強できることにある。それと季節の描写にうっとりする。『春の嵐』は今の季節の話だ。先日の大阪の雨を思い出しながら読んだ。雨の降りかたについて江戸時代はこんなんやったかとその細やかさに感心した。いまはそんな情緒はないけど、読んで知って感じることはできる。