訳者の山本やよいさんから送っていただいた。ノースキャロライナ州の小さな町の〈ドーナツハート〉のオーナー、スザンヌ・ハートが主人公のシリーズ2冊目。1冊目の「午前二時のグレーズドーナツ」を読んでいるとむしょうにドーナツを食べたくなった。前回の感想の最後はこうだ。「近くにおいしいドーナツ屋さんがなくて、わたしはまだドーナツを食べてない。」
ところがそれからすぐに四ツ橋筋にドーナツ専門店「フロレスタ」があるのに気付いた。ここのドーナツは〈ドーナツハート〉のドーナツにいちばん近いような気がする。ふんわり揚げたてのさくさくしたネイチャーが好き。昔は大好きだったショートケーキやモンブランなどは最後に食べたのがいつか忘れたが、フロレスタを知ってからはドーナツは食べる。
おっとドーナツの話ばかりしてるわ。
相変わらず深夜に起きてジープで店に行き助手のエマとドーナツを作る毎日だが、町で〈素敵なキッチン拝見ツアー〉という企画があり、友人のマージのしゃれたキッチンでスザンヌがドーナツ作りを実演することになる。
そのとき作る予定のドーナツをしっかり予習してその日にのぞんだのだが、そっと外を見ると60人ほどが待っている。時間になりスザンヌは「本日はベニエを作る予定です」と説明をはじめる。ペニエって時間と労力を注ぎ込んで作る高級ドーナツなんだって。
材料を調理台に並べて混ぜる作業にとりかかろうとしたとき悲鳴が起こる。「死んでる」と誰かが言った。
ペグ・マスターソンが倒れていた。そしてペグの手に握られているのが、ひと口かじったレモンクリームのドーナツ。〈ドーナツハート〉の商品に間違いない。
スザンヌはやってきたマーティン署長に待つように言われる。そして店のほうも捜査員がいっていると言われる。
スザンヌは友人のグレースとともに事件を探る。前作で知り合った恋人のジェイク、向こうの浮気がもとで別れたのに未練たらたらの元夫。なぜか以前に会ったことがある感じの新しい客、と男関係もにぎやか。近所のお店のひとたちとやりあったり助けられたりで、最後には真犯人を見つける。
(山本やよい訳 原書房コージーブックス 838円+税)