コルカノンを食べて北アイルランドのミステリー

今日の晩ご飯は焼酎のソーダ割りと前菜としてハムとコルカノンを盛った一皿。アイルランドのジャガイモ料理コルカノンが大好き。茹でたジャガイモと茹でたケールを合わせてつくる。
ついでに書いておくと、主菜は野菜とキノコと鶏肉の鍋。残ったスープに中華そばを入れて食べた。

このところ10日くらい暇があれば家中の椅子に座り込んで読んでるのが『コールド・コールド・グラウンド』。主人公ショーン・ダフィは王立アルスター警察隊巡査部長。口が達者で手が早い。一人暮らしで簡単な料理をさっとつくる。お酒はもちろんよく飲む。北アイルランドでカトリックであることが大変なことだとこの本でよくわかる。
北アイルランドのことは児童文学、たしか岩波少年文庫に入っていた女性作家の作品を読んで勉強になった。かなり前の話だけど、うっすらと頭に残っているからこの本を読むのに助けになった。
誰かとなんかしゃべっていて相槌が「あい」。この翻訳をうまいと思った。ふだん「あい」といっているけど書くときは「はい」になってしまうから。

事件は撃ち殺してから手首を切りとり、胴体の上にその手首を置いてある死体が発見されたことからはじまる。ところが胴体と手首は別々の人間のものだった。
(エイドリアン・マッキンティ 武藤陽生訳 ハヤカワ文庫 1000円+税)

レジナルド・ヒル『子供の悪戯』を買ったのは25年前

古い本の整理を続けている。読みたい本はほとんど買うから増えるばかりで置いておく場所は増えないから積み重なるばかりである。先日の大阪北部地震のときに本棚から本が溢れて、また本の始末をしなければと思った。阪神大震災のときは壁に沿った本棚からふとんの上に本が飛んできたので怖くなって、もう全集は買わないと決意した。買っても目が悪くなったし時間がないし読めないもんね。

今日はレジナルド・ヒルの本が並んでいる本箱を見ていたら『子供の悪戯』があった。なんと扉のタイトルの下にサインが入っている。オシャレな文字だ。あれっと思い出したのは、京都まで講演会に行って、そこで買った本にサインをもらったこと。握手もしてもらった。そして帰りの京阪電車で読み始めたっけ。
書店が主催したイギリスの3人の実力派作家を呼んだ講演会+サイン会だった。実はわたしは3人とも読んだことがなかった。わたしのミステリ好きは父親ゆずりの古い作家と自分が開拓したアメリカのハードボイルドに限られていたから、そのころはイギリスの警察物にはめちゃくちゃ弱かった。でもこれから手を出そうと思っていたのではるばる京都三条まで行ったのだ。
質問時間にパスコー警部の妻エリーが好きという女性の発言があり、エリーを知らないわたしは嫉妬でめらめら(笑)。帰りにロビーでサインをもらうときはなんでも知ってるファン顔してた、ははは。
『子供の悪戯』の三版は1993年に出ているから、講演会はこの年のことだったろう。25年も前だったんだ。

2012年1月にレジナルド・ヒルさんはお亡くなりになったが、大好きなダルジール警視、パスコー警部、ウィールド刑事が活躍する姿が本を開けば蘇る。(秋津知子訳 ハヤカワポケットミステリ 1300円)

ダニー・ボイル監督『T2 トレインスポッティング』とイアン・ランキン

2017年製作のイギリス映画。1996年製作の『トレインスポッティング』から20年ぶりの続編ということで期待して見始めたんだけど、前作での印象的な画面以外はほとんど忘れていて、のめりこめなかった。
『トレインスポッティング』を見たのも封切りからかなり後になってからで、友人の男子が騒いでいたから促されて見たようなわけで。でも見たらとても面白かった。それで期待はしてたんだけど。もう一度前作を見てから気持ちの準備をして見たらよかったかもしれない。
今日はとりあえず、見たというだけ。

エディンバラの高地というか丘というか、木々の緑と空の色がよかった。
久しぶりにイアン・ランキン描くエディンバラを思い出した。ジョン・リーバス警部とシボーン・クラーク部長刑事。エディンバラの上品ではない地域で働く警官たちの物語だが、映画に出てくる壊れそうな住宅に彼らが出入りする姿が目に浮かんだ。

エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事 5』

いただいた分厚い本のページを繰ると文字が小さくてぎっしりと詰まっている。いつになったら読み終わるのかしらと気になったが、心温まる物語ばかりで読みやすくすいすい進んでいった。ブログにどんな感想を書こうかと戸惑ってしまって日にちが経った。「怪盗」ぶってないほんとうの「怪盗」の物語である。
最初の物語「クリスマス・ストッキングを盗め」はニューヨークのクリスマス物語である。ニックと彼のガールフレンドのグロリアにはクリスマスストーリーがよく似合う。この物語ではグロリアは活躍しないが、ニックが帰宅すると待っていて一緒にクリスマスを祝い、プレゼントの交換をする。グラスを傾けながらニックがさっきまで関わっていた事件の話をするだろう。グロリアにはプレゼントの品物にニックの暖かさが重なって素敵な夜になったろう。

怪盗ニックの仕事の最初はでっかい仕事や不可能をやってみせることが多かったように思う。それはそれで面白かったが、今回は心温まる結果になる仕事が多くなったように思う。
グロリアが関わると事件がもひとつ人間臭く感じられる。
ニックとグロリアは長い年月をいっしょに暮らしてきた。結婚はしてなくて内縁関係であるが、長年連れ添ってきた年月の重みがある落ち着いたカップルだ。
この物語が続いているのは、そしてニックの泥棒仕事が続いているのは落ち着いたグロリアがいるからだ。いるだけではなく、ニックの仕事を助け機敏に働く能力がある。家でひとりでパソコンを使ってなにかやる能力ももっている。

引用、314ページ。
彼女がジェット機からおりてくるのを見て、ニックは結婚証明書がなくても、長いあいだグロリアと一緒に暮らしている理由を改めて知らされた。頭には白髪が増え始めてきたのに、染色を拒んでいる。しかし、彼女にはまだ皮肉で陽気なユーモアのセンスがある。彼女は人生全体を娯楽、とくに彼女のために設計された娯楽だと見なしていて、ニックはその中でも最高の娯楽なのだ。おそらく、ニックが一緒にいて満足できる唯一の女性だろう。
(木村二郎訳 創元推理文庫 1300円+税)

クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』

この本もこどものころからの愛読書。父親と次女と長男と三女のわたしが愛読していて、登場人物の、次女エープリル、弟アーティー、長女ダイナの会話を真似して「オコダカマカリキ」とみんなでやっていた。彼らの会話の「オダマリ」に「カキクケコ」をくっつけた簡単な合言葉だが、自分の言葉にくっつけてしゃべるのは面倒だった。紙に書いて読みながらしゃべったっけ。たしか小6だった。

いまここにある文庫本は1976年発行のもの。それでも42年前か〜 何十回も読んでいるからぼろぼろである。今回読んだらもう読むことはないから捨てる。20年くらい押入れで眠っていた本で新訳が出たら買うつもりだったが出なかったなあ。
クレイグ・ライスの本はけっこうあるがもういいかな。持っていても荷物だな。ヘレンたちシカゴの3人組好きだったけど。

なんと、文庫本は42年前だけど『宝石』という雑誌で読んだのはもっと古い本だった。「戦後」という時代に父親が買い込んだもので、我が家はぴかぴかのアメリカ文化を汚い古本やゾッキ本で学んだ。本の中には主人公たちが買うお菓子と家で作るお菓子があって憧れたものだ。

作家のお母さんすてき、ビル・スミス警部かっこいい。こどもたちはかしこい。
これからもう一度あちこち読んでからおさらばする。(長谷川修二 訳、小泉喜美子 解説。ハヤカワ文庫)

この3冊『小公女』『学寮祭の夜』『ジェーン・エア』

年末からの風邪引きが自分では治ったと思うんだけど、明け方咳をしていたそうだ。まだ治ってなかったんだ。今夜は濡れタオルを吊るして空気の乾燥に備えよう。
昼間だってまだちょっとぼおっとしていた。こんなときのセイヤーズだと、テーブルの前に『学寮祭の夜』を引っ張り出しているのだが、これがもう厚くてたいへんなのだ。小学校5年生くらいから読み出してそれ以来何百回読んだことか。読んだ本が日本で最初に訳された抄訳本だった。いまも手元にあるのだがぼろぼろである。まだ新訳が出るとわからなかったころに、これをコピーして希望者に分けたことがある。面倒なことをやる親切心というかお節介というかたいしたものだった。コピーしたおかげで古い本はよけいに破れた。いまはだいじに包んで本棚の隅っこに置いてある。

小学校に行く前から読んでいたのが『小公女』。どこの家にでもある小学生向きの厚い本で、うちの場合は姉2人が読んだ後は本棚に並べられ、そのあとわたしが読んだのだが、何度も何度も読んだあげく、自分のものにして人に渡さなかった。中学生になって岩波少年文庫版を自分の小遣いで買った。この本をいつまでも持っていたが『あしながおじさん』といっしょに数年前に処分した。その後は「青空文庫」で菊池寛訳のを読んでいる。

『ジェーン・エア』は小6の夏休みに姉の友だちに借りて読んだのが最初。感動して何度も何度も読んだ。夏休みが終わって2学期に学校へ行ったら、国語の女の先生が「この本を貸してあげる」と出してくれた。「もう読みました」といったら悲しそうにされたけど、そういうときは借りたらよかったのね、まだこどもだったから気がまわらなかった。中学に入ってお年玉で『嵐が丘』を買った。でもまだこどもだったから真価がわからず、ほんとに『嵐が丘』に目覚めたのはずっと後だった。いま持っている『ジェーン・エア』は吉田健一さん訳の文庫本をiPad miniで読んでいる。

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ドロシー・L・セイヤーズ『学寮祭の夜』

体調が回復したのを実感した昨夜、自力で這い上り中とツイッターに書いた。ここ数日はドロシー・L・セイヤーズを読んで昼も夜も過ごしている。セイヤーズのおかげ生きていられてるくらいの感謝の気持ち。

今日はヴィク・ファン・クラブ会報用のミステリ原稿の文字打ちをした。まだ這い上がり中だからしんどい。1000文字くらいなのにえらく時間がかかった。きれいな文字だからちゃんと読めて問題ないけど、でも人の書いた字でカタカナが多いのはナンギだ。

今夜はお見舞いメールをたくさんいただいているので、これからお礼メールを書く。
書き終えたらまたセイヤーズを読む。こどものときからの愛読書『学寮祭の夜』(昔の訳は『大学祭の夜』)

学寮祭の夜 (創元推理文庫)
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今日もセイヤーズで生き延びる

セイヤーズ読書3冊目は『殺人は広告する』。これもすっごくおもしろい。
ロンドンに本社がある広告会社が舞台である。わたしもこの業界で長いことやってきた人間だから興味津々で読んだ。日本で初めてこの本の翻訳が出たのが1997年だが、物語の時代はずっと昔、古き良き時代である。ピーター卿の服装や会話やお酒に気持ちをときめかせつつ楽しく読んだ。

この時代の広告業界を舞台にしているのだが、文案を考えたり、文字数や書体などを登場人物たちが考えているのはいまのデザイン事務所も変わらないなと楽しくなる。セイヤーズ自身が広告会社でコピーライターとして働き、ギネスの広告文に名を残している。
名前を変えて広告会社で働きだしたピーター卿が殺人事件の犯人を探し当てる。ユーモアたっぷりの会話が楽しくて、もっともっと読もうと本棚を探ってしまう。

殺人は広告する (創元推理文庫)
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ドロシー・L・セイヤーズで魂ぬくもる

年末は堅い本を数冊読み続けて勉強したつもりになっていた。だけど体調が悪くて感想を考えるのがしんどかった。結局書けないままで年末ぎりぎりになった。滅多にないことだが、風邪の症状が出て、声ががらがら、起きているのがしんどい。しかも夫婦で風邪引き症状だった。正月に見ようといってた映画は見たけど、内容が重くて紹介記事が書けず。特にわたしのほうがひどくて活発な頭脳活動ができず。
テレンス・マリック監督『ツリー・オブ・ライフ』はすごい内容のある作品だったが、そのうちもう一回見てから感想を書くことにする。

おとといからドロシー・L・セイヤーズの本を最初から開いて読んでいる。「探偵小説」の楽しい奇抜な展開に心温まり、魂ぬくもる。

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ドロシー・L・セイヤーズで和む夜

先日、突然『小公女』が読みたくなって昔から持っていた岩波少年文庫の『小公女』を買い直そうと思ったままだったのを思い出した。夜中に暖炉で薪が燃える音で目を覚ましたら、ほんものの薪が燃えておりテーブルには食べ物がいっぱい並べてあった、というところを読んで幸福感にひたりたかったのだが・・・しゃあないなあ、もしやと「青空文庫」の目次を見たら菊池寛訳のがあった。古い訳だけどもともとの話が古いんだからいいんじゃないの、というわけで青空文庫の菊池寛訳『小公女』をiMacの画面で読んだ。楽しんだ〜

ドロシー・L・セイヤーズを読みたくなったのもそういう感傷にひたりたいからかも。こちらは創元推理文庫をみんな持っていて、パソコン机の横の棚に収まっている。なににしようかなと迷ったが、いちばん好きな『学寮祭の夜』は読みすぎているから今日は休み。
父が昔持っていた『死体をどうぞ』にした。古いタイトルをもう覚えていないが置いておく場所がないのでしゃあない。

出だしはハリエットがのんびりピクニックしているところ、海岸を歩いていていい場所を探しのんびり座って弁当を食べ寝入ってしまう。
目が覚めて離れたところの岩に横たわる人間を見つけたが、生きていないと気がつく。潮が満ちてきて流されてしまうのは時間の問題とそばに行き、持てるものはリュックに入れ、死体の写真を撮る。

地元の警察に行くまでが一苦労。警察に行って話が通じると知り合いの新聞記者に電話して特ダネをあげる。警察とピーター卿と協力することになり、ハリエットはこの辺で最高のホテルに泊まる段取り。『毒』のときは恋人殺しの疑いで逮捕されたハリエットだが、ピーター卿の努力で疑いが晴れミステリ作家として売り出している。
ピーターとハリエット、二人のやりとりがおもしろい。今夜の友。さあ、あとを読もう。
(浅羽莢子訳 創元推理文庫 820円+税)