『ミステリマガジン』9月号

友だちとミステリの話題でメールのやりとりをしていたら、彼女は『ミステリマガジン』9月号を2冊買ったという。表紙がベネディクト・カンバーバッチなのでファンの人にあげようと思ったそうだ。そしてこの号はコリン・デクスターの追悼号でもあると教えてくれた。コリン・デクスターはいっとき好きで多分翻訳されたのは全部読んでいる。彼女もファンで「よかったね」のやりとりが頻繁にあった。
そんなわけで『ミステリマガジン』7月号買おうと思っているのに買いに入った本屋に見当たらず、アマゾンに頼もうかと思っていた。そのうち買わなくても貸してもらおうと調子のいいことを考えた。返すときにこちらからもなにか貸してあげたらいいかという考え(笑)。そしたら貸してくれるどころか1冊あげますと送ってくれた。

表紙を見たら「これは、これは」となった。カンバーバッチ、すごい美形やん。ネットでうわさは聞いていたが、これほどとは。表紙をめくったところにあるワトソン博士と並んだ写真もステキだ。「あれっまあっ〜」と開いたり閉じたりして眺めていた。これは映像見なければ。実はまだ彼のシャーロック・ホームズを見たことがない。超遅れてる。

「パブ シャーロックホームズ」は大阪にある英国パブで先日40周年を迎えた。明日は晩ご飯を外食するつもりなので、ちょっと寄ってフィッシュ&チップスでギネスを1杯飲んでこよう。

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q Pからのメッセージ 上下』

久しぶりに北欧ミステリを読んだ。振り返ればスウェーデンの作家ヘニング・マンケルの『殺人者の顔』を最初に読んだのが2001年(原作は1991年発行)。それ以来たくさんの北欧ミステリが翻訳されてきた。最初は出版されたらみんな読むようにしていたが、だんだん追いつかなくなり、全部読むぞという快挙は無理になった。いま振り返って16年経っているのかと驚いた。久し振りに読んだ北欧ミステリはおもしろかった。

デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンの第1作『特捜部Q 檻の中の女』を読んだのは2011年、すごく入れ込んで読んだのだが、犯行の残酷さにひるんで次作を買うのは控えた。犯行以上に被害者の意思の強さに揺すぶられ、特捜部Qメンバーの推理力、実行力に惹かれたものの、また今度とかいいつつ日にちが経った。今回は友人Sさんが貸してくださったのでこれ幸いと読んだ。やっぱり残酷な犯行が描かれ、それを追う特捜部Qのメンバー、カール・マーク警部補とアサドとローセの地べたを這うような捜査が描かれる。

発端はメッセージが入ったボトルだった。曲折を経て特捜部Qに届いたボトルからメッセージが発見される。ほとんど消えている文字を判読しアサドとローセが調査にのめりこむ。他の事件で働いていたカールがもどって加わる。残虐な犯人を気持ち悪く描いているところがあまり好きでない。だけど負けずに真っ当に生きようとする人間を応援する姿勢が基本にあるから、最後までしっかりと読める。(吉田薫、福原美穂子訳 ハヤカワ文庫 上下とも800円+税)

第19回大阪翻訳ミステリー読書会

日時:7月14日(金)18:45〜
場所:大阪駅前第二ビル
課題書:『拾った女』チャールズ・ウィルフォード著/浜野アキオ訳/扶桑社文庫

早めに出てシャーロック・ホームズで夕食を食べて、店主や客と雑談して隣のビルにある会場へ時間通りにいった。
最初に課題書を知ったときは、なんで1955年に書かれた本をいま取り上げるのかわからなくて、主催の影山みほさんはどういう基準で選んだんだろうと不思議だった。表紙のデザインはいいけどと言いながら読む気が起こらず日が経っていき、ぎりぎりに本を開いたら、なんと!著者のチャールズ・ウィルフォードは昔愛読していた『マイアミ・ポリス』のシリーズ3作を書いた人だった。

小柄でブロンドの美しい女ヘレンがハリーが働くカフェに一文無しで入ってきて、ハンドバッグをなくしたという。ハリーはヘレンに酒をおごり、連れ出してホテルに泊まるように世話する。翌日お金を返しにきたヘレンと過ごすために仕事をやめて夜の街へ出ていく。二人はそれから一緒に暮らし始める。ハリーは画家として立つように教育を受けていたがいまはその未来を捨て去っている。ヘレンはハリーに肖像画を描いてくれるように頼む。たまたま200ドルの金が入ったのでハリーは酒代以外に絵の道具を買い整え創作を始める。
だが、酒なくしては生きていられないヘレンとハリーの思いは「死」へと向かう。
そこまで進んできた物語は一転外の世界と関わるようになる。うんうん言いながら読んできたのが、おうおう、そっちへ行くかと切り替える。最後に「そうきたか」と感心して読み終わった。書いたらネタバレになるからここまで。

わたしは感想を話すとき、これは「純愛だ」と叫んで笑いをとったが、会の終わりに「どこが純愛や」と反論あり。この本のテーマが「純愛」なんですけど。
中心の話題は、アメリカの50年代のこと、人種差別のことなどかなり深いところまで語られてました。

ミステリ読書会のおかげで出てきた本

次回の大阪翻訳ミステリ読書会は7月14日に開かれる。課題本チャールズ・ウィルフォードの『拾った女』(扶桑社ミステリー)を「知らんなあ、まあ買うて読むか」とアマゾンに注文した。届いた本は去年の7月発行なので、まだ新しい本なのだ。けっこう古い人だと思いこんでいたのでなんだかよくわからん。表紙カバーの絵はおしゃれで新しい感覚だと思える。眺めていたらカバーを曲げたところに著作紹介があって、『マイアミ・バイス』とある。あれまあ、『マイアミ・バイス』とは、あの部長刑事さんだ!とすぐにわかった。そして「この本もってるやん、探したら出てくるで」とつぶやいた。

天気が良くなったのをさいわいに、物入れを開けて本の段ボール箱を引っ張り出す。大きいと重くて持てないので小さめの箱に詰めてある。持てる精一杯の量が詰まっているのを、おっちらと引っ張り出して探した。もっと時間があったらえらいこっちゃになるところを、探すだけで次々と元に戻す。
あったあった、3冊いっしょに出てきた。『マイアミ・ポリス』「あぶない部長刑事』『部長刑事奮闘す』。よーし、読書会に持って行こう。
だけど本命の課題本『拾った女』をまだ読んでない。

エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事〈4〉』 を読みだした

昨夜は早く寝ようと思ってたけど、先日木村二郎さんに送っていただいた『怪盗ニック全仕事〈4〉』(エドワード・D・ホック 木村二郎訳 創元推理文庫)を読みはじめたのと、届いたばかりの美しい本『ヨーロッパの幻想美術-世紀末デカダンスとファム・ファタール(宿命の女)たち  海野 弘 (著)』を開いては閉じ、また開いては閉じして遊んでいたのでやっぱり遅くなった。

今朝はお昼前に起きてカンタンサンドイッチをつくり、かぼちゃの水煮があったので豆乳でスープにして食べた。
午後から昼寝をぐっすり1時間。天気が良いので洗濯物が乾いて気持ち良い。
夕方起きてきた相方が晩ご飯にカレーのうまいの作るわといって買い物に行った。
昨夜の読書の続きで『怪盗ニック全仕事〈4〉』を読む。久しぶりのニック・ヴェルヴェットの仕事の話がおもしろい。1〜3と読んでいてそれぞれおもしろく読んだんだけど、今回は格段におもしろい。本の内容がわたしのいまの心境と合ったのかなあ。
だいたい本が届いたときに開いてそのページを読んだらニックのガールフレンドのグロリアが別れ話を言い出していた。「あれまあこの二人どないなるん?」と開いた本を立ったまま読んだわたし。わたしはこのカップルが好きなのである。まだまだ全部読み終われない厚さの本で楽しみ〜

晩ご飯は豆腐のステーキと野菜のサラダとカレーライスとビール。それぞれうまかった。
少しのビールでまっかっか。

ミステリーで恋愛小説『トレント最後の事件』

先日「探偵小説 最初の3冊」というタイトルで、F・W・クロフツ『樽』、A・A・ミルン『赤色館の秘密』(いまは『赤い家の秘密』)、E・C・ベントリー『トレント最後の事件』のことを書いた。
『トレント最後の事件』を突然思い出したと書いたが、実は新刊の文庫本を本屋で見かけて突然!思い出したのだった。クリスタ長堀にある本屋さんはわたしが欲しい本がわりとすぐ目につく。ちょっと前の川端康成の「虹いくたび」もそうだった。本の並べ方がわたしに合っているみたい。そのときはほうと思っただけだったが、帰り道で無性に読みたくなって、通りかかったよその本屋さんを見たが見つからなかった。それでまたクリスタ長堀まで行って買ったというわけ。

トレントの最後の事件なのだが、トレントがいままで扱った事件は前作があるわけでなく、この本の中で言われているだけである。本職は画家なのだが有名な素人探偵として新聞社から依頼を受け、自身の推理による解決までを書いて探偵料と原稿料を稼ぐ。探偵にせよ画家にせよ普通は寡黙な人間だと思うが、トレントはおしゃべりである。めちゃくちゃおしゃべりで楽しい(笑)。

トレントはアメリカ人の大富豪で大実業家マンダースンがイギリスの海岸の別荘で殺された事件を調べるために現地に到着した。紹介される前に海岸の崖にひとり座っている富豪夫人メイベルを見て一目惚れする。のちに彼女に紹介されるが夫の莫大な遺産を受け継いだ未亡人と思うと片思いのまま諦めるしかない。
(『トレント最後の事件』E・C・ベントリー 大久保康雄訳 創元推理文庫 1000円+税)

探偵小説 最初の3冊

小さいときは絵本や兒童もの、その後は少女小説、少年ものも兄たちのを読んだ。少女小説は買い直したり買い足したりしていまも読んでいる。情緒の安定によく効く。
そのあとに読んだのが大人の探偵小説だった。
F・W・クロフツ『樽』、A・A・ミルン『赤色館の秘密』(いまは『赤い家の秘密』)、E・C・ベントリー『トレント最後の事件』の3冊がわたしの寝ている部屋の本棚に並べてあった。それはもういろいろな本があって、いまも背表紙が思い浮かぶのだが、内容が記憶に残っているのがこの3冊なのだ。3冊とも小学5年くらいで読んだかなあ。

『樽』の表紙は樽の割れ目から人間の腕がぎゅっと伸びていて、金貨が手のひらからこぼれ落ちている。それはそれは怖かった。とにかく父親がなにかといえば『樽』というので、長い間これが探偵小説ナンバーワンかと思い込んでいた。大人になってから読んで、そこそこええけどなあって思った。
『赤色館の秘密』は大好きになって何度も読んでいる。それでも大人になると途切れて、20年くらい前に文庫本を買った。ギリンガム君とかだいたい覚えていた。図書室で本棚をとんとんと叩いて地下道への入り口を知るとか、これいまの記憶だけどあっているかどうか。兄が病気で入院したとき見舞いに持って行ったら懐かしがっていたっけ。また読みたくなった。

そして、『トレント最後の事件』だけど、前の2冊は何度か読んでいるけど、これだけは小学生のとき以来である。なんで読む気にならんかったのかな。先日、突然思い出して、半世紀以上前に読んだんだぜとびっくりした。トレントが初めて出てくる本なのに最後の事件とはなんや?と当時思って父や兄にうるさく聞いたのを思い出した。普通の探偵小説とは違って犯人を探して終わりではないところがいいんだと父がいってたような気がする。どうも納得いかなかったが。恋愛小説でもあるのになぜいままで読んでなかったのかな。これからは愛読書になったりして(恋愛部分が)。
(『トレント最後の事件』E・C・ベントリー 大久保康雄訳 創元推理文庫 1000円+税)

ステファン・アーンヘム『顔のない男』に夢中

読み出したもののページ数が多くて、いつになったら読み終えるやら。最近とみに目が疲れるのでずっと読み続けるのがしんどい。章の切れ目に他のことをしてまた戻る。戻ったところがどうなっていたかつかめてなくて、そこからまた戻って納得がいくと突き進む。まさに主人公リスク刑事が乗り移ったように突き進むようにして読んでいる。スピード感がたまらない。

著者ステファン・アーンヘムは、解説によるとヘニング・マンケル、スティーブ・ラーソン、ヨハン・テオリン、アンデシュ・ルースルンド(わたしは4人とも訳された本はすべて読んでいる北欧ミステリファン)に続くスウェーデンの作家だそうだ。目下とても売れている作家で、日本ではこの本が初訳である。
主人公はスウェーデン南部の港町ヘルシンボリに移転してきたファビアン・リスク犯罪捜査課刑事、一匹狼で突き進むから同僚たちからは困った存在になる。
彼は転勤前に休暇をとることにしていた。妻とこども2人と楽しく過ごしたい。ところが新しい職場のトゥーヴェソン警視から連絡が入る。休暇は取りやめしてすぐに職場に出て欲しいと。
仕事に入ったファビアン・リスクは両手を切断された死体の事件にのめり込んでいく。
(堤朝子訳 ハーパーBOOKS 1157円+税)

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』(3)

ヴィクは最初からではなかったが早くからAppleのパソコンを使っていた。わたしのMac歴は1987年から始まっているが、ほんとに実用に使い始めたのはヴィクと変わらないと思う。サラ・パレツキーさんが来日されたときは出たばかりのiPadを持参されていて、奈良の喫茶店で写真を見せてくださった。わたしのほうは次に出たiPad2をようやく買った。

前作『セプテンバー・ラプソディ』ではパソコンなんて次元でなく、高度な知識を身につけた天才少年が出てきた。そして先駆者エイダ・バイロンのことを書いていた。絶対この人のことを書こうと思ったんだろうとはわたしの推察である。

以前はパソコンがまだ主だったけど今回はiPhoneだ。
iPhoneがヴィクの脇役を引き受けて、通話にメールに写真に記録に大活躍するのが爽快だ。ヴィクのやることがテキパキして気持ちよい。

物語は初心に帰って、サウスシカゴが舞台になっている。
各章の見出しに野球用語が多く使ってあっておしゃれだ。
1遊撃手、2ホームベース、3スラッガー、4出塁、5カーブで三振、・・・・・56チャンスに強い打者、57ホームスチール、という具合である。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1400円+税)

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』(2)

著者の謝辞に「ブーム=ブームが〈バーサ・クループニク〉号のスクリューに巻き込まれて命を落とした経緯について知りたい方は『レイクサイド•ストーリー』をお読みください。」とある。本書を読み終わったら読もうと思って探したら、カバーが破れて黄ばんでいるし文字が細くて読みにくい。そのうち電子書籍で読もうと今回は中止した。最近はタイトル見ても内容がわからないのでナンギである。カタカナタイトルで17冊あるんやもん。第1作『サマータイム・ブルース』からもう一度読むつもりはしているんだけど。

謝辞のとおり本書を読む前に『レイクサイド•ストーリー』を読めば登場人物の半分くらいの25年前の姿がわかる。それと『サマータイム・ブルース』に出てきた人も出てくる。新聞記者のマリ・ライアスンはますます元気。そういえば彼も以前ヴィクとつきあっていた一人だ。作品中では別れたあとだったが。行きつけのバー、ゴールデン・グローでは店主の大柄な美女サルが健在で相変わらず黙ってジョニーウォーカーを注いでくれる。ただ一人ヴィクをヴィッキーと呼ぶシカゴ市警マロリー警部は亡き父の同僚で、シリーズ最初の頃はよくヴィクとやりあっていた。心優しい人だが女性が銃を振り回すのが好きでない。
今回もヴィクの暴走を引き止めようとする元恋人のコンラッド警部補。いまもヴィクのことを気にしているが、いっしょに暮らすのは無理なのがよくわかっている。別れたときの悲痛なやりとりを思い出すと胸が痛む。
いまのヴィクにはジェイクという1階下に住むコントラバス奏者の恋人がいる。
それから同じ建物に住むコントレーラスさんも古い仲だ。本書では90歳になっているが、ヴィクとともに大活躍。口も達者でいざとなったら暴力的な相手をやっつける根性と機知を持っている。
そうそう、ロティはもちろん出てくる。ロティの連れ合いマックスも最後のほうでジェイクの頑張りに協力する。わんちゃん2匹ともに健在で大活躍。

そしてヴィクに甘えたり怒ったり迷惑をかけたりのバーニーはブーム=ブームの親友ピエールの娘で、天才的なアイスホッケーの選手。今回カナダからシカゴに見学にやってきてヴィクの部屋に泊まっている。ヴィクは可愛いと思う反面迷惑をかけられてナンギする。

だけど本作でいちばんの主役はシカゴカブスのリグレー球場である。原作が出たのは2015年だが、シカゴカブスは2016年にワールドシリーズで優勝してしまった。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1400円+税)