サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』(2)

著者の謝辞に「ブーム=ブームが〈バーサ・クループニク〉号のスクリューに巻き込まれて命を落とした経緯について知りたい方は『レイクサイド•ストーリー』をお読みください。」とある。本書を読み終わったら読もうと思って探したら、カバーが破れて黄ばんでいるし文字が細くて読みにくい。そのうち電子書籍で読もうと今回は中止した。最近はタイトル見ても内容がわからないのでナンギである。カタカナタイトルで17冊あるんやもん。第1作『サマータイム・ブルース』からもう一度読むつもりはしているんだけど。

謝辞のとおり本書を読む前に『レイクサイド•ストーリー』を読めば登場人物の半分くらいの25年前の姿がわかる。それと『サマータイム・ブルース』に出てきた人も出てくる。新聞記者のマリ・ライアスンはますます元気。そういえば彼も以前ヴィクとつきあっていた一人だ。作品中では別れたあとだったが。行きつけのバー、ゴールデン・グローでは店主の大柄な美女サルが健在で相変わらず黙ってジョニーウォーカーを注いでくれる。ただ一人ヴィクをヴィッキーと呼ぶシカゴ市警マロリー警部は亡き父の同僚で、シリーズ最初の頃はよくヴィクとやりあっていた。心優しい人だが女性が銃を振り回すのが好きでない。
今回もヴィクの暴走を引き止めようとする元恋人のコンラッド警部補。いまもヴィクのことを気にしているが、いっしょに暮らすのは無理なのがよくわかっている。別れたときの悲痛なやりとりを思い出すと胸が痛む。
いまのヴィクにはジェイクという1階下に住むコントラバス奏者の恋人がいる。
それから同じ建物に住むコントレーラスさんも古い仲だ。本書では90歳になっているが、ヴィクとともに大活躍。口も達者でいざとなったら暴力的な相手をやっつける根性と機知を持っている。
そうそう、ロティはもちろん出てくる。ロティの連れ合いマックスも最後のほうでジェイクの頑張りに協力する。わんちゃん2匹ともに健在で大活躍。

そしてヴィクに甘えたり怒ったり迷惑をかけたりのバーニーはブーム=ブームの親友ピエールの娘で、天才的なアイスホッケーの選手。今回カナダからシカゴに見学にやってきてヴィクの部屋に泊まっている。ヴィクは可愛いと思う反面迷惑をかけられてナンギする。

だけど本作でいちばんの主役はシカゴカブスのリグレー球場である。原作が出たのは2015年だが、シカゴカブスは2016年にワールドシリーズで優勝してしまった。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1400円+税)

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』(1)

待っていた本が2016年の終わり12月20日に出版された。早川書房の宣伝に〈元恋人から依頼を引き受けた探偵ヴィクは、二十五年前に起きた殺人の真相を追う。事件の裏に潜む巨大な闇とは!? 待望の最新刊〉とあったので、25年前の恋人って誰だろうとVFC会員とメールのやりとりをしたが、思い浮かばなかった。彼女もわたしもコンラッドが好きなんだけど、彼は警官だから頼みには来ないし。金額表示(1400円+税)を見て分厚そうやなという意見も出てたが実際分厚い(622ページ)。

ヴィクシリーズ17作目『カウンター・ポイント』を読み終えた。1回目はささっと、2回目はていねいに読んだ。ハラハラさせられておもしろかった。いくつになってもヴィクは頑張るんだ。
前作『セプテンバー・ラプソディ』(2015年発行)はロティをめぐる物語でヴィクの奮闘はもちろんあるけれど、物語は格調高く、第二次大戦の前にヨーロッパで学び研究に励んだ女性科学者の物語でもあった。

今回は最初から最後までサウスシカゴの風が吹き荒れる。徹底的に頑張るヴィク健在。
ヴィクの事務所に突然やってきたのは25年前の恋人フランク。ヴィクが10代のときちょっとだけつきあったが彼がベティと仲良くなって終わった。
いまも昔と同じサウスシカゴに住みトラックの運転手をしている。シリーズに登場するのは初めての人だ。彼の依頼は自分の母親ステラのこと。ステラは25年前に実の娘アニーを殺した罪で服役し2カ月前に出所したところだ。いまも「殺したのは自分ではない。誰かにハメられた」と言い続けている。フランクはなにかあるかもしれないから調べて欲しいと頼んだ。ステラはいやな女でそんな調査などヴィクはやりたくない。しかし頼まれたら断れない性格だから(いままでの作品と同じように)しぶしぶ探ってみると返事する。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1400円+税)

髪を整え、体を整え、ヴィクの活躍を読む

髪が伸びて頭のてっぺんの白髪がむき出しになっていたのを、ようやく昨日美容院シュリットできれいにしてもらった。気持ち良くしてもらいながらおしゃべりしたり聞いたり。相手が若くて話題が多いから聞くほうが多かったけど、楽しく情報交換できた。コーヒーとお菓子も出て名犬シェルくんと遊んでいい午後を過ごした。

今日はつるかめ整体院で体の手入れをしてもらった。ずいぶんと左の肩が凝っているそうで、なにをしたか聞かれた。本とパソコン前としかいえないなあと考えていたら、ブログを読んでくれてはるから「年賀状」のせいだと理由をいってくれた。ペンを持ったのは右手だけど左が凝るのね。

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』を再読中だけどまだ読み切れてない。25年前の恋人が出てくるんだけど、読者には初お目見えである。早川書房の最初の広告に書いてあったので、友だちと誰のことかなあと話し合っていた。彼女がいままでの恋人の中でコンラドッドがいちばん好きというので、わたしもコンラッドが好きだと答えたのだが、彼ではなかった。コンラッドは警官として出てきて、ヴィクに好意を持っているけど、今回もやりすぎるヴィクを食い止めようとする役。
物語の発端で依頼人として現れるフランクが正解なんだけど、シリーズのいままで出てきてない。
さあ、コーヒー淹れてもうちょっと読もう。

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』を読み出した

ヤマト運輸の「ネコポス」で本が届いた。ありがたいシステムやなあとしみじみ包みを眺めてから開いた。最初の数ページしか読めなかったけど、ヴィクの事務所に依頼人がきた。昔の恋人!
本にはまり込んでばかりいられない。まずはヴィク・ファン・クラブ会報の「あとがき」を片付けなくてはととりかかった。書き上げないうちに晩ご飯になった。あとは夜なべ仕事だ。
晩ご飯の片付けしてからすこし読もうと思ったが、毎夜定期便の姉への電話20分がある。天気予報に夜中に雨があがって明日は天気になるとあったので、洗濯機に走った。夜中に干しておけば明日ぎりぎりまで寝ていられる。明日は姉の家で晩ご飯を食べる。帰るまで読書はお休みだ。だからこれから会報できるぶんやって本をできるだけ遅くまで読むことにする。

25年前の恋人が出てくると広告で読んで誰のことかしらと考えていたけど、わからないはずだ。そんなことがあったなんて。その相手がヴィクの探偵事務所にやってきて25年前の事件を調べてほしいと頼む。いやいや頼まれてしまうヴィクだが、このあとのめり込むんだろうな。とんでもない事件があったのだろうなとドキドキしながら読む。楽しみ〜
文字が大きく読みやすいのはありがたいが622ページもあって重い。通勤読書は無理みたい。わたしは通勤してないけど老婆心で(笑)。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1300円+税)

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』発売をジョニーウォーカー黒ラベルで祝う

昨日のラジオの天気予報で明日が寒さの底だと言っていた。ほんまに寒い。
外出嫌いではないのだが、こう寒いと家で本を読んでいるのがいちばんいい。飽きたらパソコンがありツイッターが待っている。年末だって自分が構わないのだから掃除は適当。洗濯だけはきちんとやっている。
ヴィク・ファン・クラブの会報作りを午後に少々やったが、ページどりを間違ってやり直したりちょっとボケてきたかと心配になったりして(笑)。土曜日だし公私とも働くのはやめることにした。用事が溜まるけど。未読本の山があるので片付けなくてはいけないし。

もうちょっとしたら寝る前のウィスキーを飲むつもり。サラ・パレツキーさんの『カウンター・ポイント』が20日発売される。久しぶりに私立探偵V・I・ウォーショースキー(ヴィク)愛飲のジョニーウォーカー黒ラベルで前祝いってこと。本棚から何冊か取り出して拾い読みしながら。

ネレ・ノイハウス『死体は笑みを招く』

ドイツの女性作家ネレ・ノイハウスの作品を読むのは『深い疵』(2009)『白雪姫には死んでもらう』(2010)に続いて3作目。
フランクフルトに近い町ホーフハイム刑事警察署の主任警部オリヴァー・フォン・ボーデンシュタインと同警部ピア・キルヒホフが活躍するシリーズである。
事件が起こり複雑な様相になるが、熱心な捜査活動で核心にせまる物語に加え、警察官の私生活がからんで読み出したら離せない。
今回はオリヴァー警部の結婚生活の危機になるような妻との会話があり、殺人事件を抱えた警部が仕事を休んで妻につきそう。代わりに事件解決の責任者となったピアは中心になって指揮しようとするが、上級警部のフランクにことあるごとに嫌味をいわれる。ピアが小さい農場を持って馬を飼っていることが気に入らないのだ。その金の出処についての悪口が出回っていると同僚のカイにいわれる。ピアは上手に株を売買して運良く手にいれたお金と説明する。
ピアから別れ話をして法医学者の夫と別れて暮らしているが、向こうはピアとよりをもどしたい。事件捜査中に知り合った若者からも好意を寄せられ、殺人事件の舞台となった動物園の男性とはお互いに好意を持つ。

どどっと読んだので事件がつかめてない。そのうちもう一度読むことにして、次の本が待っているので移動する。
読んだ印象だけど、何日もかけて読んだピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』と比べるとものすごく読みやすかった。フランスとドイツの差も感じたし、男性・女性の差も感じた。
(酒寄進一訳 創元推理文庫 1200円+税)

ピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』

いつものようにさっと読み終えてから気になるところを熟読した。これでカミーユ・ヴェルーヴェン警部のシリーズ3冊を読了。
去年の11月に読んだ『悲しみのイレーヌ』と『その女アレックス』(発行は14年9月)がよかったので待ち望んでいた3冊目である。
ヴェルーヴェン警部はどんな難事件でも打ち込んでやりとげるのは前の2冊でよくわかっていたが、今回も驚くべき事件が起こったのを短い時間で解決する。

彼の第一の特徴は背が低いこと。わたしとほぼ同じなのだが、日本女子のなかでも背の低いわたしと同じではコンプレックスになるのは当然。50歳で禿げかけていて身長145センチで、最愛の妻を亡くして孤独な生活を送っていたカミーユに若い恋人ができた。アンヌとは再婚はしていないがいっしょに暮らしている。
その朝、アンヌはカミーユの手を振りほどきベッドを出た。通勤中に武装強盗に襲われ瀕死の重傷を負う。報告を受けたカミーユは事件に疑問を持ち、自分の恋人とも知り合いともいわずにたまたま起きた暴力事件として捜査をはじめる。
物語は1日目、2日目、3日目に分かれて、カミーユが事件を追う姿が刻々と記される。上司や同僚や部下にアンヌとともに暮らしていることを隠しての捜査は自身の地位を危うくする。

カミーユの言葉
「愛のためなんかじゃない。状況がこうさせたんだ」
「どん底に落ちることになっても、誰かのためになにかを犠牲にできるっていうのは、そういう誰かがいるっていうのは、悪くないと思う」にんまりして「この利己主義の時代に、なんとも贅沢な話じゃないか。え?」
(橘明美訳 文春文庫 840円+税)

今日からピエール・ルメートル

昨日までイーヴリン・ウオー『ブライヅヘッド ふたたび』でどっぷりイギリスにはまっていたが、今日はピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』を読み出した。買ったときに最初の数ページを読んだだけだった。3部作の3作目であるのを知ってはいたが、前2作をほとんど思い出せなくてあせった。昨日ウオーの感想を書いたので一区切りつけ、今日からはと積んである本から探し出した3冊。カミーユ警部が主人公の『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』、違う味わいの『死のドレスを花婿に』の3冊とも既読で開いたら思い出した。もう2冊持っている『天国でまた会おう 上下』は未読。早く読まなくては。

2作をざっとさらって思い出してから新作にとりかかった。
最初は読み出したもののなかなか入り込めない。カミーユの恋人として登場したアンヌがひどい災難にあう。すごく詳しく襲われたシーンを描いている。なんかちょっと意味ありげな書き方が引っかかる。なんて考えていたが、まだアタマの中にイギリスが残っていたみたい。夕方になってようやくフランスアタマになってきた。そうなるとおもしろくなり、さっきまで退屈気味だった読書が快楽に転じてきた。コーヒーを片手に読む、読む。これからお風呂に入るけどあがったらまだまだ続きを読む。

サラ・パレツキーの新作『カウンター・ポイント』12月発売!!

ツイッターをうろうろしていて見つけたうれしい情報です。さっそくお知らせ!

サラ・パレツキー『カウンター・ポイント』2016/12/19発売
(ハヤカワ・ミステリ文庫 1400円+税)
出版社内容情報=元恋人から依頼を引き受けた探偵ヴィクは、二十五年前に起きた殺人の真相を追う。事件の裏に潜む巨大な闇とは!? 待望の最新刊

ヴィク健在!!
元恋人って誰だ? どの人かなあ。思いつかないなあ。
ミスタコントレーラスさんにまた会えると思うとうれしい。

まだ1カ月以上あるけど発売日が決まっているし待つのも楽し。
来月の「Vic Fan Club News」は新刊期待号だな。会報出したころに新刊発売だから、1月号は感想特集になるな。

L・P・デイヴィス『虚構の男』

久しぶりに買った国書刊行会の本。かなり前にはちょっと変わった本をけっこう買っていたが最近はご無沙汰中だった。いちばん思い切った買い物は少女雑誌『ひまわり』(復刊)で全冊が大きな箱に詰まったのが届いたときはうれしかった。(たしか28000円だったけどうろ覚え)
今回、読書会で取り上げる本の知らせで久しぶりに国書刊行会の本を買った。責任編集=若島正+横山茂雄だからおもしろいものになるはずと期待したら期待どうりだった。

ドーキー・アーカイヴについての説明【知られざる傑作、埋もれた異色作を、幻想・奇想・怪奇・ホラー・SF・ミステリ・自伝・エンターテインメント等ジャンル問わず、年代問わず本邦初訳作品を中心に紹介する、新海外文学シリーズがついに刊行開始!】というのを読んでうれしくなり、さっそく読書会の課題本に指定された本を買った。挟んである小冊子がすごく楽しい。10冊のうちたった一人知っている名前がドナルド・D・ウェストレイクで『さらば、シェヘラザード』という実験的ポルノ〈作家〉小説だって。即買うしかない。もう一人は女性作家アイリス・オーウェンズの『アフター・クロード』。まずこの2冊は買うっきゃない。

昨日の日記に関西ミステリー読書会が、L・P・デイヴィス『虚構の男』を取り上げたことを書いた。「本の感想はまた明日。」としたので、今日は本の紹介をしなくちゃ。
L・P・デイヴィスは初めて知った名前だけど、訳された本が2冊あったと持ってきた人がいた。1冊手元に回ってきたので書いておく。『四次元世界の秘密』(少年少女世界SF文学全集 1971年 あかね書房)

本作はL・P・デイヴィス(1914-1988)によって1966年に書かれた。イギリスののどかな田舎に住む作家アランは、世話好きな隣人や親切な村人に囲まれて暮している。いまアランは50年後の2016年を舞台にしたSF小説を書こうとしている。
アランは執筆の合間に散歩に出て若い女性と出会う。わたし好みの甘いロマンス小説によくあるような丘の上の草地での語らいや笑いあいながら歩く村の小道のシーンはとてもロマンチックなのだが、どこか違和感が漂ってくる。アランは医者に薬を処方され、付添婦は忘れないように薬を飲ませようとする。穏やかに庭の草取りをしている隣人は親しくしているけど、アランのことを常に探っている。
後半は2016年の世界になる。
(矢口誠訳 国書刊行会 2200円+税)