アイヴァン・ライトマン監督『デーヴ』

1993年のアメリカ映画でケヴィン・クラインとシガニー・ウィーバー主演。職業斡旋所を経営するデーヴは気楽な生活を楽しんでいるが、顔や姿が大統領とそっくり。
ある日大統領のそっくりさんとしてモノマネをしていると、シークレットサービスに目をつけられる。モノマネはボランティアとしてやってるだけと弁解しても無駄で、大統領の替え玉として使われる。最初の人前を通行する大統領姿がうまくいった。まもなくほんとの大統領がセックスしていて倒れる。

思わぬ事態になりデーヴは替え玉を通すことになる。大統領特別補佐官は副大統領を失脚させて自分は次期大統領になるつもりで画策する。大統領夫人がホワイトハウスに戻ってきて実情を知る。実は大統領夫妻は表向きだけで裏では反目しあっていたのだ。
デーヴはホームレスの子供たち支援の法案をめぐって特別補佐官と対立する。
議会や記者会見など本物っぽいシーンが続き、デーヴの人の良さと機を見るに敏なところが幸いして、最後はハッピーエンド。
久しぶりにケヴィン・クラインとシガニー・ウィーバーを見て楽しんだが、24年前の映画か〜 アマゾンプライム。

大阪駅ステーションシネマで『鉄路の斗い』を見た

最近買い物するのに大阪駅のイカリスーパーへ行くことが多い。明るくて美味しいものが揃っていて買いやすい。駅の建物に入って歩いているとふと思い出すときがある。イカリの隣りには明るいティールームがあって賑わっている。このあたりが暗かったことを思い出すこともない。北側は相変わらずの高架下だが昔とはずいぶん違って明るくなった。
『鉄路の斗い』は石原裕次郎主演作と二本立てだった。ということで、裕次郎の映画のリストをみたらすぐにわかった。

かたや、ルネ・クレマン監督、アンリ・アルカン撮影のモノクロ映画、フランスの鉄道労働者のナチス抵抗を描いた作品である。この映画のことを知ってから絶対見たいと思っていた。大阪駅構内だからどこにでも行くぞというほどの決意ではなかったけど。でも誘う友だちがいなかったのだから孤独やったんやな。
労働者たちが処刑されるときに小さな虫が壁に止り、羽のゆらめきを一人の労働者がじっと眺めていて、すぐに銃の音が響き彼は倒れる。忘れられないシーンだ。

そうだ、裕次郎はたしかドラマーの役だったと思い出して調べたら『嵐を呼ぶ男』で、封切りは昭和32年である。多分、ステーションシネマは二番館だろうからその翌年くらいかな。記憶をたどると、一人で行き、はじめて入る映画館であったこと、トイレの匂いが漂っていたことくらいしか思い出せない。

梅田日活のころ

先日タクシーの運転手さんにイナロクのことを教えてもらった。国道176号線がイナロクか〜と感心したらいろんな知識を付け加えてくれた。イナロクが梅田新道からはじまっているとは知らなかった。梅田新道とは懐かしい。

この日記にしょっちゅう出てくる姉より2歳下、わたしより10年上の亡き姉が小中学時代のわたしにとって憧れだったことを書いておこうとさっきご飯を食べながら思った。断片を相方にしゃべってたらいろいろ思い出した。書いているうちに思いが少しはまとまるかなあ。

二番目の姉はよく遊んだ人だった。タイピストをしている会社をひけると、たいてい遊びにいく。映画、ダンス、そしてどこかの喫茶店のようなところから帰ると寝ている妹にも聞こえるように話すのだった。聞きながらわたしも姉みたいな遊び人になろうと思った(笑)。
父が買う推理雑誌『宝石』、映画は『スクリーン』『映画の友』、姉が買うのはいまなら『アンアン』『ポパイ』のようなものか『スタイル』だった。たまに『新女苑』も。兄が買う『改造』もあった。『世界』も出てたかも。わたしはもちろん『ひまわり』。あれほど雑誌が輝いていた時期はなかったと思う。

姉は大阪駅からまっすぐのけっこう広い通りを「うめしん」といっていた。喫茶店、洋服屋があったように記憶する。
それから10年くらい経ち、ハタチくらいになったころ、その「うめしん」でわたしも遊ぶようになった。コーラスの友人の両親が相次いで亡くなり、遺産に日活の株があったそうで、映画がタダで見られる。毎週のように二人で出かけた。小林旭と宍戸錠がわたしのお目当て。もうちょっと上品なのを見たいと彼女。でも日活映画やもんと2年くらいは通ったかな。帰りにすぐそばのお好み焼き屋に寄るのが楽しみだった。いま思うと北新地の流れだったのか、お座敷になった店で、出来上がりにマヨネーズをかけまわしてくれた。わたしらはいっちょまえの遊び人のような顔をして食べてた。

ダニー・ボイル監督『スティーブ・ジョブズ』

映画化の話を聞いたときはできたらすぐ見たいと思ったが、ころっと忘れていて昨日の夜ようやくアマゾンプライムで見た。原作ウォルター・アイザックソン、脚本アーロン・ソーキン、主演マイケル・ファスベンダー(ジョブズ)とケイト・ウィンスレット(初期からの開発チームメンバーであるジョアンナ・ホフマン)。

このブログにも何度も書いているが、わたしたちがマッキントッシュプラスを買ったのは1987年秋のことだった。話に聞くコンピュータというものを見にいったのだが、日本橋の大型電気店でずらりと並んだNECのマシンに圧倒された。ふと隅っこを見ると、可愛い四角いものが1台置いてあった。わたしは相方の上着の裾を引っ張り「あれにしよう」と叫んだ。359,000円のその小さい箱こそマックプラスで、わたしらが買った最初のマックだった。相方はその日からマックのとりことなり、わたしも基本操作を覚えた。
その後に買ったすぐれもの、性能は段違いに優れプラスと同じくらいの大きさのSE/30ときたら756,000円なのであった。ここから仕事に使えるマックになっていった。

以上のようなマックファンであるからジョブズの映画となると入れ込む。
ウォルター・アイザックソンの伝記はすぐに買って読んだが、いまやかなり時間が経って記憶がおぼろ。ふふ、まだあるのだ、ヤマザキマリの漫画『スティーブ・ジョブズ』(講談社)。1と2を友人にもらって、いまのところ3と4を買って読んだ。映画と同時進行で読んだ感じだ。伝記のほうは正確だがちょっと風味が足りないと感じるところがあった。ヤマザキマリさんの本はしっくりきてすごい。両方読んで映画を見たらお腹いっぱいだ。

ようやく映画の話になるが、とてもよかった。マイケル・ファスベンダーは「ジェーン・エア』のロチェスターさん役しか見てないがよかったし、今回もよかった。ほんとのジョブズみたいだった。ケイト・ウィンスレットも細かい感情をよく出していてよかった。

ウォルター・サレス監督『オン・ザ・ロード』

わたしがジャック・ケルアックの本を読んだのは30年以上も前のことだが、いっときニール・キャサディが猛烈に好きでたまらなかった。今日相方がツタヤで借りてきたDVDを見ていて気がついた。「路上」を書いたケルアックと「路上」を生きたひとニール・キャサディを描いた映画だ。ケルアック役のサム・ライリーは『コントロール』でイアン・カーティスをやった人だって。あれはよかったけど、今日はもひとつもの足りなかった。ニール・キャサディももひとつだった。もうちょっと・・・。
製作総指揮がフランシス・フォード・コッポラ、監督が『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス、2012年の作品。

1940年代のニューヨークに作家志望のサルが父亡き後、母親と住んでいる家を出て旅に出る。広いアメリカの土地を暑いときも寒いときも車やらバスやら歩きやらで、いろんな土地に移動する。時に離れても大体は一緒に行動するディーン。酒、マリファナ、女、ジャズなどについてサムは書き留め、ディーンは体に記憶する。

映画が良いというよりも、ジャック・ケルアックとニール・キャサディが主人公だからいいはずだという思い込みが先に立っていた。

イングマール・ベルイマン監督『夏の遊び』

『夏の遊び』(1951)はイングマール・ベルイマン監督10本目の作品とのことだが、わたしはその存在を全然知らなかった。50年代の有名な作品をいろいろ見たとき『野いちご』に惚れ込んでレーザーディスクを買い何度も見た。その後もベルイマン監督の映画を見続けて『沈黙』には入れ込んだ。そのあとは見た覚えがあると思うのだが、タイトルだけではわからない作品がある。
久しぶりに今夜ツタヤで借りてきたDVDで『夏の遊び』を見て興奮し、また『野いちご』見たいな、DVDが欲しいなと騒いでいる。

王立オペラ座の首席バレリーナをつとめるマリーは、いろいろあって13年前の夏の記憶を思い出す。現在のマリーは少し疲れが見えるが貫禄のあるプリマバレリーナである。そして新聞記者の恋人がいる。彼女のもとへ匿名で古い日記帳が送られてきた。開いて見ると昔の恋人ヘンリックの名が書かれていてショックを受ける。
そこからマリーの13年前の夏の物語が描かれる。海辺の家での若い二人と犬の自由な生活。泳いだり走ったり食べたり寝たり、北欧の夏の描写が素晴らしい。そこにいる若い二人が美しい。
やがて海に風が吹きマリーが秋の気配を感じとったとき、ヘンリックが岩の上から海に飛び込んで大怪我をし、病院で死亡。残されていたノートを黙って叔父が持っていく。そのノートが13年後のマリーの手元に送られたのだ。

マリーはバレーに集中し踊りきり拍手の中で幕が下りる。現在の恋人が舞台の袖に立ってマリーを迎える。

アルフォンソ・キュアロン監督『大いなる遺産』

1998年の映画、上映されてすぐに見たように覚えている。グウィネス・パルトローが大好きなころですごく美しいのに満足した。でも、エキゾチックなシーンは気に入ったけど、元の物語はディケンズなのでもひとつな感じだった。フィン役のイーサン・ホークのことは全然気にしてなかった。若くてきれいな俳優さんという感じだった。

その後、ディケンズの本を渡英する友人にたくさんただいた中に『大いなる遺産』もあって再読した。すごくおもしろかったのでチャンスがあればもう一度映画を見たいと思っていた。映画を見たので今度はもう一度原作を読みない。
今夜は見るかと聞かれて「イーサン・ホークとグウィネス・パルトローやん、見る〜」と二つ返事。前に見たときよりも原作を再読してるし、目下イーサン・ホークの大ファンなんだし。

フィンは兄夫婦といっしょに暮らしている。ある日、海で脱獄囚の男につかまって脱走の手助けをする。男は警察に捕まったとテレビのニュースで知る。ある日、フィンに屋敷の老婦人から誘いがあった。屋敷を訪れると古〜い屋敷の荒れた庭がすてきで、屋敷に入ると厚化粧の老女(アン・バンクロフト)がいて不気味。金髪の美少女が蝶のようで不思議。フィンは少女エステラに魅せられる。大人になったフィンを演じるイーサン・ホークが美しくて不安げなところもよくて、イーサンだけを見るためにまた見たいと思った。大人になったエステラ(グウィネス・パルトロー)も美しい。

昔助けたことのある脱獄囚役がロバート・デ・ニーロ。彼の陰の助けがあっていまの成功が得られたのだが、フィンは助けを無駄にせず画家として世に認められた。娘を連れたエステラと故郷の海で向き合う。

ノア・バームバック監督・脚本・製作『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

楽しそうな映画をと選んだ。ニューヨクのブルックリンに住む子供のいない40代の夫婦の生活は楽しげだが、周りの知人たちは子供をつくりはじめている。40代の夫婦にベン・スティラーとナオミ・ワッツ、映画の最初に知り合う若い夫婦にアダム・ドライバーとアマンダ・サイフリッド、2014年の作品。ナオミ・ワッツを初めて見たが綺麗な人だ。

ジョシュは記録映画作家でアートスクールで講師もしている。授業中にパワポがうまく操作できなくなり困る。授業が終了したときに若者が話しかける。「パワポがうまくいかなくて」となんとなく引きながら話に応じて意気投合っぽくなる2人。ジェイミーは映画に、アマンダはアイスクリーム作りをやっていて、2カップルは親しく付き合うようになる。
ジョシュは記録映画にきちんとした考えを持っていて、ジェイミーと共同で映画を作る話になる。スピードのある展開でどんどん話は進むが、ふむふむと見ていたのにいつのまにか寝入ってしまった。

結局は若いジェイミーは合理的な考えでジョシュを利用しヤラセで映画を完成させて評価を得る。そして良心の痛みもなく成功の階段を上がっていく。

自分の道を行くことを選んだジョシュ夫妻は養子をもらうことにして面会に海外へ行く。機内で妻が買ってきた雑誌の表紙を飾っているのはジェイミーの顔だった。

わたしにとっては20代も40代も若すぎて気にならないけど、いまその世代にいる人にはいろいろ考えるところがあるだろう。かつてそんなことを考えていたかも忘れている。

パク・チャヌク監督『イノセント・ガーデン』

だいぶ前のことだが雑誌に出ていたミア・ワシコウスカの写真に惹かれ映画を見たいと思って見たのが『ジェーン・エア』だった。たしか本人の希望で撮った作品だったと思う。女の子だったらだれでも好きなジェーン・エアを素直に演じていた。でもちょっとエキセントリックな役柄のを見たいなと思ってだいぶ経つ。

おととい『お嬢さん』の配達日時を調べていたらそのページの広告にあったのが本作。1000円でお釣りがくるじゃんとすぐに購入したら今日届いた。
わたしの好みだと『お嬢さん』より合いそうな感じだなとさっそく今夜見た。早寝しないとあかんのやけど、今夜も夜更かし。最後まで蚊に食われているのも気がつかずはらはらだった。パク・チャヌク監督、2013年の作品。製作にリドリー・スコットとトニー・スコットが入っている。

娘役のミア・ワシコウスカがとてもよかったが、それにも増して年増の色気が上品だけどむんむんする母親役のニコール・キッドマンもよかった。昨日も大金持ちの家で贅沢な暮らしだったけど、今日もアメリカの田舎(?)の邸宅が出てきて、母親の部屋のインテリアなんか素敵すぎる。父親の葬式に突然現れる叔父さんが男前で、母にも娘にもにこやかに手をだすところが不気味。娘と叔父のピアノ連弾はすごくエロティックで惹きこまれた。なんとかならなあかんやんって思いつつ見ていたら、なんとかなった結末が怖い。

パク・チャヌク製作・監督・脚本『お嬢さん』

原作サラ・ウォーターズの『荊の城 上下』(創元推理文庫)は何度も読んだお気に入りの小説。ディケンズを思い起こさせるロンドン貧民の暮らしがこれでもかと描かれ、主人公の少女スッキの強さと柔らかさに魅せられる。それが詐欺師の一味としてお城にやってきて、お嬢さま(キム・ミニ)にからむ。お城にいたお嬢さまは実はなかなかのやり手なのであった。
素晴らしい映像。イギリスのお城の代わりに日本建築のお屋敷だが、広い庭園の中をくるまが走る。門を過ぎたところで降りる支度をするスッキ(キム・テリ)に運転手がまだまだだから起きなくてもよいと声をかける。『レベッカ』の邸宅に到着するまでのうねうねした道を思い出した。

まだ韓国が日本統治下にあった時代のお話で、セリフはほとんど日本語である。
そのお屋敷で生まれ育った秀子お嬢さんと召使いに雇われた娘スッキの間にかもされる不思議な愛の交歓が妖しく美しく圧倒された。2016年の作品。
パク・チャヌク監督の映画は初めて見たんだけど、しかも原作のサラ・ウォルターズからの縁なんだけど、もっと見たいと思ったら、明日届く『イノセント・ガーデン』もパク・チャヌク監督で、不思議な縁に喜んでいる。よかったです〜