溝口健二監督『元禄忠臣蔵』を英語字幕版で

『元禄忠臣蔵』(真山青果原作)は昔から大好きな映画である。
偶然おとといの夜に英語字幕付き版を見ることになった。おとといは前編、昨夜は後半を見たのだが、字幕が邪魔にならず、ときどき英語を読んでいたり、いい経験をした。
したがって、昨日のブログはお休みしました。

戦中の映画だから映画館で見ていない。
20年くらい前にテレビで見たかビデオで見たかだったか大枚はたいてビデオを買ってからは何度も見ている。最近はどこかに仕舞い込んだまま見ていない。心身ともに忠臣蔵離れしてしまっている。中学生の頃から忠臣蔵が好きで、本編だけでなく、銘銘伝、講談、随筆といろんな本で読んでいた。いまは離れているが思い出すと何十年のものすごいファンだった。

この映画が好きなのは大石蔵之介を演じる河原崎長十郎が好きだからである。河原崎長十郎を見るために前進座の芝居を見に何度も出かけた。歌舞伎十八番だったかな、『鳴神』が最高だった。お姫様が河原崎國太郎でこれも絶品。前進座のパーティにも出かけてお二人に握手してもらったことがある。

映画『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』

モーガン・フリーマンとダイアン・キートンの夫婦が40年もの間住み続けていた家を手放そうとしている。5階にある眺めのいい部屋は住み心地がいいが、エレベーターがないので階段をあがるのが億劫になってきた。犬もかわいそうだ。
この家を売って住替えしようと決めて不動産屋に依頼してまず買い手を探す。いろんな人が見に来てああだこうだとおもしろい。

40年の夫婦生活を過ごしてきた二人は強い絆で結ばれている。黒人の夫と白人の妻ということで、差別の世の中を二人は手を携えて生きてきた。ここにきて世の中の常識に逆らわずに生きていくなんてみっともない。この家に住めるだけ住もうと二人は決意する。いいぞ、いいぞ。

我が家も二人でこの部屋に越してきて40年経っている。眺めはそんなによくないし、狭いし汚いが気に入っている。ニューヨーク、ブルックリンとはいかなくても大阪新町に住んでいる。

久しぶりのスーパー、映画『新しい人生のはじめかた』

午後から銀行と郵便局へ行って用事をすませ、久しぶりにスーパーライフで日用品の買い物をした。ふだんはあれもいるこれもいると相方に頼んでいるが、もひとつめんどうな日用品を説明するのがややこしいので出ていった次第。車椅子を押してもらってゴム紐や事務のり、洗剤いろいろ、トイレスリッパなど隅々まで見て回った。

帰ってから2回目のごはん。ピーナツバターを盛ったトーストとコーヒー。ピーナツバターを思い切り食べて胃が重くなった笑。たまにこんなんがおいしい。晩ご飯はイカのトマト煮と野菜たっぷりのスープ。

食後、楽しみにしていた映画『新しい人生のはじめかた』を見始めたら一度見たことがあるのを思い出した。でもおもしろいしほろっとするところもあるしで、飽きずに見た。
女性のほうがうんと背が高いカップル。背が低くてもかっこいいのがダスティン・ホフマン。エマ・トンプソンがエレガントで可愛くてよっしゃーって感じ。ハッピーエンドが気持ち良かった。

アーサー・コナン・ドイル『緋のエチュード』

火曜水曜と2日かけて青空文庫でアーサー・コナン・ドイル『緋のエチュード』大久保ゆう訳(以前は『緋色の研究』)を読んだ。
読み出したら夢中になり読み通してしまったが、読み終わってなんでこれ読んだのかなって疑問がわいた笑。きっかけは「発達障害」の本3冊からドラマ『シャーロック』にいったんだった。いやー おもしろかったなあ。発達障害のシャーロックを堪能した〜 それから青空文庫を探して『緋色の研究』を見つけた。いまは『緋のエチュード』となっている。

なんせシャーロック・ホームズの物語を読んだのはこどものとき、おとなになってミステリファンになっていろいろ読んだが、コナン・ドイルは読んでなかった。本格物やハードボイルドやいろいろ読んでるのに、ホームズは子供向けと思っていたみたい。いますっごく楽しんで読んでほんまの本格物やんかと反省した。

〜第四章から引用〜
ホームズ「事件に関してはここまでだ、博士。ほら、種明かしした手品師は相手にされない。これ以上手の内を見せすぎると、君は僕のことを所詮ただの人と決めつけかねない。」
ワトソン「そんなことないよ。この世界でいちばん、探偵という仕事を厳密な科学にまで近づけている。」
ワトソンの独白 同居人は私の言葉や熱心な口ぶりが嬉しいようで、顔を赤らめた。自分の腕をほめられると弱いということが私にはとうにわかっていた。まるで、綺麗だよと褒められた少女のようだ。

二人が最初に会ったとき、ワトソンに一目でアフガニスタン帰りだねといって驚かせたシャーロック。二人の仲はドラマのハドソン夫人の見方では恋人どうし。
作品ではワトソン博士がホームズとワトソンの物語を書いたんだけど、ドラマではワトソンはブログを書いてアップしている。

『シャーロック』と発達障害

ついこの間だけど、夫が買ってきた香山リカの『「発達障害」と言いたがる人たち』(SB選書)をさきに読ませてもらっていたら、香山さんが岩波明の『発達障害』(文芸春秋)を勧めていたのですぐに買ってきてもらった。わたしは「発達障害」という言葉は常々気になっているが、「発達障害と言いたがる人たち」ではない。甥の一人が自閉症ということもあってずっと気になっている言葉ではある。

香山さんの本を読むのを途中でやめて岩波さんの本に移り「はじめに なぜあの人は「空気が読めない」のか?」を読み出した。なんとまあ、章の最初の言葉がシャーロックなのである。ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロック。
我が家はずっと前から映画から遠ざかっている。ここで『シャーロック』を見ないでポカンと解説されているだけでいいのか。実は、ベネディクト・カンバーバッチが素敵なことはネットの記事でじゅうぶん知っている。写真だけ見ていても素敵だ。夫に「この映画を見ないで発達障害について語ったらあかんのとちゃう? Amazonプライムで探そう」といった。すぐに見つかったので、月曜日に『シーズン1-1緋色の研究 “A Study in Scarlet” 火曜日(昨日)にシーズン1-2 死を呼ぶ暗号 The Blind Bankerと、シーズン1-3 大いなるゲーム The Great Game の2本を見た。
シーズン1は2010年の作品である。10年前の作品とは思えない新しさと速さ。

携帯電話とノートパソコンが出てくるところでびっくりしたが、会話の中でもシャーロックのサイトとかいうし。ワトソンはブログを書いてるし。製作年はいまから10年前なのだからその当時の最先端がまだ通用している時に見られて幸せだった。

そして、全体のスピードに驚かされた。はやい、はやい、すごく展開がはやい。結着も早い。「わたしら遅れてるぅ」と思わず叫んでしまった。
今日は発達障害の本をもう一冊買ってきてくれた。本田秀夫『発達障害』(SB選書)。

エースのジョーにしびれた60年安保のころ

今日1月21日に宍戸錠さんが亡くなられた。小林旭さんの奥様が亡くなられたばかりだしとてもさびしい。

出演映画の一覧表を見ていたら『銀座旋風児』のシリーズ名がたくさんあった。懐かしい。エースのジョーを初めて見たのはどの「旋風児」だったかな。すっごくおもしろく見たのを思い出す。あまりにもアホらしくて同行のSちゃんは「帰る」と腰を上げた。その手を引っ張って「もうちょっと」と座らせ、わたしはジョーを満喫した。「くみちゃんてもうちょっとインテリかと思ってた」といわれながら(笑)。
小林旭がスクリーンに派手に出てくるとジョーは敵役や相手役で出てきて、ふくらんだほっぺたがその場を支配した。わたしはジョーの笑顔が大好きだった。

そのころ、わたしは阪神電車の千船駅近くの小さな会社で事務員として働いており、仕事が終わると梅田へ出てコーラスや学習会や講演会や映画に行き、友達と会ってしゃべり、お好み焼きを食べ、カクテルを飲みにバーへいった。
60年安保の時期が近づき安保反対のデモがしばしばあった。わたしは労働組合に所属してなかったけど、友達の会社の労組のデモに参加させてもらってデモった。個人でデモに参加するのは困難な時代だった。「デモる青春、ジャズる青春」の言葉通りデモとジャズに明け暮れジョーのほっぺたに惚れて、アキラの笑顔に魅せられていた。

Sちゃんの父上が日活の株を持っていて入場券が届くとくれたので、梅田日活へしょっちゅう行っていた。帰りはすぐそばのお好み焼き屋でお好み焼きと焼きそばを食べた。お好み焼きにマヨネーズをつける食べ方のはしりだったと思う。そのあとカクテルバーに行って、お気に入りのバーテンダーのいるテーブルでカクテルをたのんだ。新作の「白雪」なんて名のカクテルがあったっけ(笑)。

ジョン・フォード監督『リオ・グランデの砦』

ずいぶん前に本屋で買った安いDVDのハードボイルド映画を何本か見た。その他に西部劇や恋愛ものもある。昨日取り出したのはジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の『リオ・グランデの砦』。なんと290円の値札が貼ってある。そして同じような西部劇がまだ数枚ある。どれも買ったときに一度は見ているが、それぞれおもしろいから置いてある。古色蒼然とした西部劇だけど人情味があり、相手役は美女でしっかりしていて言葉のやり取りも楽しい。白黒映画で画質もけっこういい。

騎兵隊とインディアンたちのリオ・グランデの砦で繰り広げられる攻防を丁寧に描く。騎兵隊の英雄ジョン・ウェインの妻がアイルランド系の美女モーリン・オハラで、一人息子を連隊から家に連れて帰ろうとする。息子は意地でも帰らない、騎兵隊で戦いたいという。

結局は全員でインディアン部隊をやっつけ砦を死守する。騎兵隊は善、インディアンは悪と割り切った考えで作られた映画だが、子供達の可愛らしさ、若者たちの率直さ、洗濯する女房たちの真面目さ等気持ちよく見られた。アイルランドの歌がたくさん歌われるところもよかった。

ハワード・ホークス監督『三つ数えろ』

先日ジョン・ヒューストン監督の『キー・ラーゴ』を見てよかったので、うちにあるDVDを探したら出てきた。原作はレイモンド・チャンドラーの『大いなる眠り』。戦後のなにもないときに阪急電車三国駅近い夜店の屋台で見つけたミステリ雑誌『宝石』に翻訳されていた。何度も読んだからハンフリー・ボガードとローレン・バコールのやりとりを口ずさめた。雑誌のほうはつい先頃まで押入れに置いてあったが、点検したら傷んでどうしようもないから捨てた。DVDは他のハードボイルド映画といっしょに保存用の箱に入っている。

父は戦前の映画のファンだったが、二番目の姉は戦後のアメリカ映画の熱烈ファンで、中学生のわたしはお風呂屋への往復など歩きながらストーリーや姉独自の解説を聞くのが好きだった。戦後アメリカ映画が上映されるようになり姉はウキウキと青春時代の最後を過ごし、話し相手はわたししかいなかった。その後、姉は結婚して子供を2人つくり彼女らが学校へ行くようになると深夜映画に熱中した。画質などという贅沢なことはいわずただストーリーを追い、スターの姿を追っていた。
わたしも父と姉の足跡を追って映画ファンになったが、時代がかわったこととわたしが理屈を好む性格ということもあって、映画批評やらヨーロッパ映画やらと窓口を広げていった。

ハワード・ホークス監督『三つ数えろ』はハンフリー・ボガードとローレン・バコールの演技にハードボイルドという覚えたての言葉がぴったりだった。映画館で見たか深夜映画で見たのかはっきりしないが夢中で見たことを覚えている。
かなり前になるがハリウッドの名画のDVDが街の書店で売っているのを知って買いに行った。1枚500円か1000円くらいだったので大枚はたいて20枚くらい買ったっけ。それらの中で「もう一度見る」という基準で何枚か残してある。話が長くなったが、『三つ数えろ』もその一枚である。

ジョン・ヒューストン監督『キー・ラーゴ』

近頃はネットと本に興味がいって映画を見ようという積極的な気持が起きてこない。昨夜はジョン・ヒューストン監督の『キー・ラーゴ』(1948)を見たのだが、それも村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでいた夫が登場人物の言葉から、『キー・ラーゴ』がいいらしい、どんな映画か見たいといいだしたので見ることになった。

この時代の映画は深夜映画でよく見た。いちばん気に入ったのは『飾窓の女』で、それこそ深夜にじっとひとりテレビの前で頑張っていたものだ。
なんの縁か『飾窓の女』は、エドワード・G・ロビンソンが学者の役で主演だった。
『キー・ラーゴ』では典型的な悪役を気持ちよく(?)演じている。

映画がはじまりハンフリー・ボガードとローレン・バコールの間にエドワード・G・ロビンソンの名前が入って物語がはじまった。
二人の新スターの間に老練な大スター、その相手にはクレア・トレヴァーが色気を残したちょっと歳のいった役で出ている。彼女はこの映画で助演女優賞を得た。ジョン・ウェインとの『駅馬車』は二人とも最高だった。
老練なふたりの俳優に対して新鮮なふたりの俳優は演技が根本的に違っていて、ちょっとした表情にも新しさがあって見とれた。

ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々』

ボリス・ヴィアンの小説『日々の泡』の翻訳(曽根元吉訳、新潮社)が1970年に刊行されたとき読んだ。哀しく美しい恋愛小説にこころを揺さぶられた。44年前のことだ。それ以来読んでいなかった。読むと哀しいから読みたくならなかったのだ。

ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々』は、ボリス・ヴィアンが感じて書いた物語を映像にして見せてくれて絶妙だ。
モノがそれぞれ生きていて暴れたり落ち着いたりしている。いろいろな人間が描かれる。わたしはなかでもジャン=ソル・パルトル(ジャン=ポール・サルトル)を表現するやりかたにイかれた。
1966年東京で元気なサルトルを見たことのあるわたしとしては、もう喝采するしかない。

そして、ロマン・デュリスとオドレイ・トトゥが恋人たちを演じて素晴らしい。その他の若い人たちもそれぞれ生きていて、語り、踊り、歌っている。
久しぶりに見た映画にこころ揺さぶられた。2013年のフランス映画。