バリー・ジェンキンス脚本・監督『ムーンライト』

2017年2月アカデミー賞作品賞と脚色賞を受賞。製作総指揮にブラッド・ピットの名前がある。
ゲイの少年の孤独と愛が描かれた作品で最後まで静かに見ていた。
どうしようもない麻薬中毒の母親に育てられた少年シャロンは級友のケヴィンと密やかに愛を交わす。売人をしている男がシャロンに好意を持ち海で泳ぐことや人生についてあれこれを教える。重苦しい学校生活といじめに全然卑屈にならないシャロン。暴力には暴力で返すところも自然にやっている。お金をむしり取っていく母親の存在にもめげず大人になっていく。
大人になり売人になったシャロンにケヴィンから電話がかかる。小さな食堂で働くケヴィンは離婚して息子と暮らしている。食堂を訪れたシャロンは麻薬の売人で、金歯をはめ、高級車に乗っている。でも話す二人は自然体。男が自分の体に触れたのはあの一回だけとシャロンはケヴィンに告白する。

暴力場面は多々あるのに静謐な作品。『キャロル』を思い出した。純愛映画が好きだ。見てよかった。

アダム・ブルックス脚本・監督『姉のいた夏、いない夏』

2001年のアメリカ映画。郊外の中産階級の典型のような家庭で仲良く育った年の離れた姉妹の物語。姉フェイスがキャメロン・ディアスで妹がジョーダナ・ブリュースター。絵を描きたかったが実業家になった父親が仕事の悩みが原因で病死したあと、姉娘は母親と妹を置いて夢を追いかけて出て行く。テレビニュースで見たパリの若者デモに影響されてヨーロッパへ。妹には毎日のように絵葉書を書くと約束した。

フェイスがポルトガルの海辺で自殺したと知らせがあった。妹は姉の死の真相を知りたいと思いつめ、高校卒業後一人でヨーロッパへ出かける。7年前にパリで姉の恋人だったウルフ(クリストファー・エクレストン)に会い話をすると、ウルフは心配していっしょに行動することになる。70年代の闘争をともに闘った二人だが、穏健なウルフに対して過激なフェイスはより過激な路線をいき、テロにまで行き着いた。

運動から離れてポルトガルの海岸に行ったフェイスとウルフは海を見つめて語り合う。その後フェイスは一人崖から飛び込む。ウルフは村人に助けを求めたがフェイスは死んでいた。
フィービーは勝手に死んでしまった姉に怒りを爆発させるが、海辺でウルフに受け止められる。ウルフがいい人でよかった。大人になって我が家にもどったフィービーは母と抱き合う。

60〜70年代の若者を丁寧に描いた映画だけど、過激派の人たちがいっこも汚くない、いまでも通じる感じ。以前見たときはもっと激しいものを感じたが、今日は穏やかなノスタルジックな感覚で受け止めていた。

映画『スティーブ・ジョブズ』を見てブルーのiMacの時代を思い出した

今夜は夜中の2時から、Apple Special Event. September 12, 2017. The first evernt at the Steve Jobs Theater を見ようと夜更かしの構えである。
先日から映画『スティーブ・ジョブズ』(監督ダニー・ボイル。脚本アーロン・ソーキン、原作ウォルター・アイザックソン、2015年製作)をもう一度見たいと思っていたので、ちょうどよかった。マイケル・ファスベンダーのジョブズがとてもよくて、 ケイト・ウィンスレットのマーケティング担当ジョアンナが素晴らしい演技。ジョブズとジョアンナのやりとりが真剣勝負なところに引き込まれた。

iMacが最初に発売されたのが1998年、美しいブルーの姿に魅せられたが、お金がなくて買えなかった。1987年にマックプラスを買ったのが最初でぼちぼちと趣味から仕事に使うようになっていった。無理をして歴代のマックと周辺機器を買って仕事してきたが、楽しそうなiMacには手が出なかった。
そのうちにいろんな色のが出揃ったときは、「わたしはイチゴ色を買う!」と息巻いていた。そんなとき、兄がiMacを買うからいっしょに行ってくれという。当時相方は仕事が忙しく買い物に付き合っている時間がないので、わたしがやる以外なかった。
はじめてマックを買う人のための本を調べて、兄といっしょに昼過ぎの空いた時間に難波のソフマップに行った。これとあれをなんてノートを片手に売り場で商品を出してもらった。付け焼き刃の勉強でやっつけたけど、店員さんはうら若い(?)女性のわたしがあれこれいうのでびっくりしてた。設置とか接続とかは相方がのちに日曜日に行ってやった。

そこまではいいんだけど、その後は質問の電話の嵐がやってきて、当時わたしは主婦していたのだが、毎日毎日質問電話攻めに悩まされた。兄はパソコンで謡の会の案内状を作ろうと必死だった。

『オン・ザ・ロード』をもう一度見た

「製作総指揮がフランシス・フォード・コッポラ、監督が『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス、2012年の作品。」と7月にレンタルDVDで見て書いた。そのときは思い込みが先に立っていて映画が終わった時はちょっとがっかりしたんだった。今日もう一度見たら前回よりもずっと登場人物にも理解がとどき「ああよかった、もう一度見てよかったね」という言葉が素直に出てきた。

いまここにビート詩人8人の写真の切り抜きがあるのだが、ジャック・ケルアックのシャープな顔に映画のシーンがダブって「うーむ」とうなずいた。写真のほうがずっといいけど。昔なにかで読んで憧れていたニール・キャサディもこの写真のほうがずっとインテリだ。などとモンクを言いながらも、長い映画の二度目を楽しんだ。
前回は理解が行き届かなかったウィリアム・バロゥズとアレン・ギンズバーグも、ああこの人やねって感じで見られてよかった。

映画としては良かったとはいえないけど、ビート・ジェネレーションの時代の人たち、街や道(ロード)の風景を見て感じるところもあってよかった。

グリーントマトのサラダと映画『フライド・グリーン・トマト』

昨日近所の無農薬野菜の店で買ってきたグリーントマトを今日の昼にサラダにして食べた。キュウリ、レタス、ブロッコリーとグリーントマト、お皿に盛られたグリーン野菜が新鮮でうまかった。赤いトマトよりさっぱりした味のグリーントマトを食べていて思い出した。「『フライド・グリーン・トマト』てあったやん、よかったね、あれ」「覚えてないで、トマトを使った料理か?」「そうやねん、女性2人でレストランやって評判の料理やねん。トマトをスライスして衣をつけてフライパンで揚げるんやて、映画の中でやけどね」なんて話しあった。

覚えているのはそこまでである。解説を読んだら映画は女性2人の友情の物語なのだが、原作は同性愛の物語のようだ。ふーん、映画館で見てからビデオでも見たのはそのせいか。メアリー・スチュアート・マスターソンがすごくよかった。それで『マンハッタン花物語』を見て、相手役のクリスチャン・スレーターにも惚れたんだった。

たしか同じように女性どうしで共感し二人で旅に出る映画もあったっけと思い出した。最後のシーンがじ〜んとくる『テルマ&ルイーズ』(1991)。スーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスがよかったが、同じ年に公開されたといま検索して初めて知った。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』昨日の続き

昨日は映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』をこのわたしのiMacで見ていた。美しい映画画面に見える部屋に背より高いでっかい計算機(?)が置かれている。なんだか音を立てて規則的に動く神秘的な機械が、のちにコンピュータになったんだって。このでっかいものがいまやこの小さなiMacに収っているといるということを話しながら、コンピュータの基礎を作った人を描いた映画を見ていたわけだ。

チューリングは第二次大戦後、当時のイギリスの法律で同性愛者として罪に問われた。映画では執拗な攻撃的取り調べをする警官が出てくる。イギリスの警察ものを読むと出てくる落ち着いた自信をもった警官は相手が悪人の場合を小説で読むと小気味好いが、チューリングに対してのしつこい追求は見たくなかった。

イギリスではアラン・チューリング(1912-1954 )の生誕100年前後から、彼の業績を正当に評価しようという動きが本格化しているそうだ。英国政府によるチューリングの恩赦が発表されたのは2013年12月24日。

モルテン・ティルドゥム監督『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

2014年のイギリス映画。わたしはタイトルすら知らなくて、翻訳家の山本やよいさんとのメールのやり取りでシャーロック・ホームズの話から巡ってベネディクト・カンバーバッチときて、『イミテーション・ゲーム』を見ましたかと聞かれたという長い話である。
「まだ見ていません」と答えてから、アマゾンプライムをチェックしたら、なんとタダで見られる。さっそく今夜見た。

ケンブリッジ大学の数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は第二次大戦中、ナチスの暗号機エニグマの解読に挑む。同僚を見下して孤立するチューリングは、上官の「チャーチルがすべての責任者だ」という言葉を聞き、チャーチル首相に直訴して仕事を続けることになり、エニグマ解読のための同僚をクロスワードパズルで選ぶ。一人の女性(キーラ・ナイトレイ)がパズルで優秀な頭脳を見せる。

エニグマを解読するための努力が実るまでの苦労と上官や警察官とのやり合いが詳しく描かれる。
解読してから後の行動についての悩みの大きさもぐさっとくる。またその時代の同性愛者に対する政府の扱い。何十年か前の話なのに大変な苦難を重ねて生きた主人公の苦難に涙した。

アイヴァン・ライトマン監督『デーヴ』

1993年のアメリカ映画でケヴィン・クラインとシガニー・ウィーバー主演。職業斡旋所を経営するデーヴは気楽な生活を楽しんでいるが、顔や姿が大統領とそっくり。
ある日大統領のそっくりさんとしてモノマネをしていると、シークレットサービスに目をつけられる。モノマネはボランティアとしてやってるだけと弁解しても無駄で、大統領の替え玉として使われる。最初の人前を通行する大統領姿がうまくいった。まもなくほんとの大統領がセックスしていて倒れる。

思わぬ事態になりデーヴは替え玉を通すことになる。大統領特別補佐官は副大統領を失脚させて自分は次期大統領になるつもりで画策する。大統領夫人がホワイトハウスに戻ってきて実情を知る。実は大統領夫妻は表向きだけで裏では反目しあっていたのだ。
デーヴはホームレスの子供たち支援の法案をめぐって特別補佐官と対立する。
議会や記者会見など本物っぽいシーンが続き、デーヴの人の良さと機を見るに敏なところが幸いして、最後はハッピーエンド。
久しぶりにケヴィン・クラインとシガニー・ウィーバーを見て楽しんだが、24年前の映画か〜 アマゾンプライム。

大阪駅ステーションシネマで『鉄路の斗い』を見た

最近買い物するのに大阪駅のイカリスーパーへ行くことが多い。明るくて美味しいものが揃っていて買いやすい。駅の建物に入って歩いているとふと思い出すときがある。イカリの隣りには明るいティールームがあって賑わっている。このあたりが暗かったことを思い出すこともない。北側は相変わらずの高架下だが昔とはずいぶん違って明るくなった。
『鉄路の斗い』は石原裕次郎主演作と二本立てだった。ということで、裕次郎の映画のリストをみたらすぐにわかった。

かたや、ルネ・クレマン監督、アンリ・アルカン撮影のモノクロ映画、フランスの鉄道労働者のナチス抵抗を描いた作品である。この映画のことを知ってから絶対見たいと思っていた。大阪駅構内だからどこにでも行くぞというほどの決意ではなかったけど。でも誘う友だちがいなかったのだから孤独やったんやな。
労働者たちが処刑されるときに小さな虫が壁に止り、羽のゆらめきを一人の労働者がじっと眺めていて、すぐに銃の音が響き彼は倒れる。忘れられないシーンだ。

そうだ、裕次郎はたしかドラマーの役だったと思い出して調べたら『嵐を呼ぶ男』で、封切りは昭和32年である。多分、ステーションシネマは二番館だろうからその翌年くらいかな。記憶をたどると、一人で行き、はじめて入る映画館であったこと、トイレの匂いが漂っていたことくらいしか思い出せない。

ダニー・ボイル監督『スティーブ・ジョブズ』

映画化の話を聞いたときはできたらすぐ見たいと思ったが、ころっと忘れていて昨日の夜ようやくアマゾンプライムで見た。原作ウォルター・アイザックソン、脚本アーロン・ソーキン、主演マイケル・ファスベンダー(ジョブズ)とケイト・ウィンスレット(初期からの開発チームメンバーであるジョアンナ・ホフマン)。

このブログにも何度も書いているが、わたしたちがマッキントッシュプラスを買ったのは1987年秋のことだった。話に聞くコンピュータというものを見にいったのだが、日本橋の大型電気店でずらりと並んだNECのマシンに圧倒された。ふと隅っこを見ると、可愛い四角いものが1台置いてあった。わたしは相方の上着の裾を引っ張り「あれにしよう」と叫んだ。359,000円のその小さい箱こそマックプラスで、わたしらが買った最初のマックだった。相方はその日からマックのとりことなり、わたしも基本操作を覚えた。
その後に買ったすぐれもの、性能は段違いに優れプラスと同じくらいの大きさのSE/30ときたら756,000円なのであった。ここから仕事に使えるマックになっていった。

以上のようなマックファンであるからジョブズの映画となると入れ込む。
ウォルター・アイザックソンの伝記はすぐに買って読んだが、いまやかなり時間が経って記憶がおぼろ。ふふ、まだあるのだ、ヤマザキマリの漫画『スティーブ・ジョブズ』(講談社)。1と2を友人にもらって、いまのところ3と4を買って読んだ。映画と同時進行で読んだ感じだ。伝記のほうは正確だがちょっと風味が足りないと感じるところがあった。ヤマザキマリさんの本はしっくりきてすごい。両方読んで映画を見たらお腹いっぱいだ。

ようやく映画の話になるが、とてもよかった。マイケル・ファスベンダーは「ジェーン・エア』のロチェスターさん役しか見てないがよかったし、今回もよかった。ほんとのジョブズみたいだった。ケイト・ウィンスレットも細かい感情をよく出していてよかった。