リチャード・リンクレイター監督『ビフォア・サンセット』を再び

ビフォアシリーズの2作目。前作『ビフォア・サンライズ』から9年経った設定で出演者も9年経って同じカップル、ジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジェリー・デルピー)である。
今回もすごくよかった。内容がわかっているだけに見方が深まった。ジェシーの「パリのアメリカ人」的なちょっと田舎者のようなところと、セリーヌのおしゃれなパリジェンヌ的なところがとてもよい。

ジェシーは9年前の出来事をテーマにした小説を書き、作家として認められて、いまパリの書店でサイン会が開かれている。一人の女性ファンが事実かと突っ込んで聞くのがおもしろい。話しながらセリーヌが来ていることに気がつく。セリーヌはこの書店の常連でジェシーがパリに来ているのを知り立ち寄ったのだ。
飛行機の時間がせまっているけど、少しだけと書店の人にいって二人はカフェに行く。歩きながらもお店でも話がつきない二人。店が手配してくれた車に迎えに来てもらい、しゃべりながら結局はセリーヌの住まいまで行く。
セリーヌの部屋のインテリアが素敵。ジェリーはセリーヌに歌をうたってと頼み、セリーヌはギターを抱えて歌う。
最後に部屋でかけるニーナ・シモンの歌が素敵。

『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』を再び

『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』を去年の8月に見て魅せられ、翌日9年後の『ビフォア・サンセット』を見てますます惹きつけられた。1995年と2004年に見ていたら自慢しまくってただろうけど、残念ながら2本とも2016年にアマゾンプライムで見せてもらってわいわいいってる。
3作目の『ビフォア・ミッドナイト』の物語はまた9年後になるのだが、これはDVDを買ってここにある。連続で見るつもり。

3作とも見てから1作目を見ると、最初は気がつかなかったことにいろいろと気がついて満足感に満たされた。
フランス人のジュリー・デルピーとアメリカ人のイーサン・ホークはヨーロッパを走る列車で偶然知り合い、その夜を共に街を歩きまわり公園で横になって過ごす。映画『第三の男』で知られたウィーンの大観覧車が動いているのが懐かしい。詩人、占い女などと声を交わし、クラブ、バーなどで遊び、最後はお金がなくなって入ったバーでワインを借りて公園へ。そこで一夜を過ごして朝の別れ。ほんとによかった。

C.サレンバーガー『機長、究極の決断「ハドソン川」の奇跡』

クリント・イーストウッド監督の映画『ハドソン川の奇跡』を見て感想(1月30日)を書いたら、yosさんが「原作が大好きです。3回ぐらい読んだ。映画も見て、すごくよかった。」とコメント(ミクシィ日記)をくれた。
わたしは原作があったことも知らずに見ていたので、あわてて本を買って2回読んだ。クリント・イーストウッド監督は映画化にあたって、原作全体でなく事故に焦点をあてている。事故シーンの合間に過去のことや私生活も少しはあるけれど、事故と全員生還にテーマをしぼっている。そして事故対応の必然が見るものを納得させる。

原作ではサリー・サレンバーガー機長の生まれてからいまにいたる生活や仕事のこと、とりわけ「飛ぶこと」への憧れと現実化について詳しく書いていて感銘を受けた。
子供時代に父親から受けた実地の教育は、ワシントン大統領の子供時代のようであるし、ロバート・B・パーカーが書いた私立探偵スペンサーが依頼人の少年と家を建てるシーンを思い出した。
私生活で夫妻にこどもができず、養子を2回もらうところはアメリカだなあと感心した。

映画では事故調査を中心にもってきて、あの判断でよかったのか的を絞ったスリリングな展開だった。本書を読むと軍隊体験も含む飛行経験を重ねていたからこその、事故対応だと納得できる。機長と副操縦士が冷静に判断したこともすごいことだった。客室乗務員3人の冷静な行動も素晴らしい。
yosさんこの本を教えてくれてありがとう。
(十亀 洋訳 静山社文庫 838円+税)

ウィノナ・ライダーとイーサン・ホーク、ベン・スティラー監督『リアリティ・バイツ』

見たい映画のメモ帳を見ていたらイーサン・ホークとウィノナ・ライダーが出ているのがあった。この二人を見られたらいいなと思ってアマゾンプライムを探した。
イーサン・ホークはずっと名前を知ってるだけだったけど「ビフォア・シリーズ」3作でファンになった。ウィノナ・ライダーはデビューした頃からファンで最初のころはみんな見ていた。最近すごく美しい写真を見て喜んだところ。

1994年のアメリカ映画。大学を出た4人の男女がまともな就職活動をしないで生きている。リレイナは衣料品店で働く女友達ヴィッキーと共同生活をしているが、そこへ男性2人が押しかけて4人で暮らすことになった。

リレイナ(ウィノナ・ライダー)はテレビ局でアシスタントをしながら自分でドキュメンタリー作品を制作中。トロイ(イーサン・ホーク)はアマチュアバンドのボーカルをやっていて世を拗ねたところがあり、ふたりは好き合っているのに強張った関係。
リレイナが親からプレゼントされたガソリンカードを使ってみんなと買い物をし、ガソリンを入れにきた人たちから現金をもらってカードで決済、最終的に親に請求がいく。そりゃ親は怒るがな(笑)。
時代の閉塞感がひしひし伝わるリアリティがある青春映画だった。
実はこの映画、映画館で見た記憶がよみがえった。忘れて当然、23年も前だもんね。

イーサン・ホークとアーロン・エッカートが好き

好きだった映画スター、ごく初期はジャン・ルイ・バローとジャン・マレーに夢中。それからいろんな人を経てモンゴメリー・クリフト。いろいろいたんだけどこの3人が抜群に好き。夢中にはならなかったけどずっと好意を持ってるのはクリント・イーストウッド。

さて、いま話題の『マグニフィセント・セブン』にイーサン・ホークが出ている。ちょっと前に『ブルーに生まれついて』でトランペッターのチェット・ベイカーをやっている。まだ見てなくてどっちもそのうち見るつもりだけど、どっちもいいだろうな。
イーサン・ホークの名前だけは知ってたけど、ビフォワーシリーズの『ビフォア・サンライズ(日の出前)』と『ビフォア・サンセット(日没前)』をネット配信で見て相手役のジュリー・ デルピーともども夢中になった。3作目の『ビフォア・ミッドナイト(真夜中前)」は無料になるのを待てずDVDを買って見た。
3作ともにジュリー・ デルピーのほうが激しく見えるけど、彼は彼女を受け止めながら彼の激しさがある。これでイーサン・ホークのファンとなった。

アーロン・エッカートは先日見たクリント・イーストウッド監督『ハドソン川の奇跡』で副操縦士をやっていい味を出していた。『幸せのレシピ』『エリン・ブロコビッチ』ではええ感じやなって思った。その後に見たのが『抱擁』で、惚れ惚れ。グウィネス・パルトローの恋人になって素晴らしい笑顔を見せた。これもDVDを買って何度も見ている。

クリント・イーストウッド監督『ハドソン川の奇跡』

久しぶりに見たクリント・イーストウッド監督の映画。内容はわかっているのに最後まではらはらして見ていた。
乗客たちと機長と副機長と乗務員を入れて155人を乗せて飛び立った旅客機。ニューヨークの街が美しい。すぐに鳥がエンジンに飛び込むトラブルが発生する。最寄りの飛行場を指示されるが時間が足りない。機長のサリー(トム・ハンクス)はハドソン川に降りると即座に決断し実行する。副機長ジェフ(アーロン・エッカート)も沈着に対処する。
155人はニューヨークの沿岸警備隊や警官たちに助けられ全員が無事に助けられた。1月の寒さの中を川に着水したのでみんな無事ってほんとに奇跡。

機長の判断ミスと決めつけるコンピュータ・シミュレーションを使った調査会議で、サリーとジェフは被告人を見るような視線にさらされる。機長が判断を下す時間を35秒遅らせてシミュレーションをやり直したら、近くの空港にたどり着くのは不可能だという結論が出る。サリーとジェフがちょっとの間を部屋から外に出て微笑み合うところがよかった。

大好きなアーロン・エッカートが口ひげを生やして副操縦士になっているのがかっこよくてうれしかった。

『ヒロシマモナムール』のエマニュエル・リヴァさんが亡くなった

58年前にたった一度しか見ていない映画だけど、エマニュエル・リヴァと岡田英次が抱き合うシーンをいまだに覚えている。そして彼女がドイツ人男性と愛し合ったことで戦後のフランスで頭を丸坊主にされ引きまわされるシーンも強烈だった。
彼女のつぶやき「私、広島で何もかも見たわ」彼が答える「君は何も見ちゃいない」繰り返されるこの言葉もよく覚えている。いま思い出すとデュラス的なセリフだが、当時はふーん、こんなシーンになる恋愛がしたいと思ったり、こんなシーンはつらいやろなと思ったり。岡田英次がかっこよくて満足だった。

監督アラン・レネ、原作がマルグリット・デュラス(当時は知らなかった)、製作者は永田雅一(大映社長)とフランス人のジャック・アンドレフェー、1959年製作。
十三の大映映画館に一人で行ったんだけど実は岡田英次のファンだったから。まだ子供時代から抜けてなかったといまにして思う。のちにアラン・レネ監督について知り上映された映画をほとんど見て、デュラスの本をたくさん読むようになった。
『ヒロシマモナムール』という映画が『24時間の情事』という名前で封切られたことに憤慨したが、それはもっと後になってからだ。
続編のような吉田喜重監督のヒロシマを描いた『鏡の女たち』(2002)を思い出した。

ペドロ・アルモドバル監督・脚本『私が、生きる肌』

今夜もペドロ・アルモドバル監督の映画を見ることにしたのだが、この作品、見ている間も見終わっても、すごい!としか言葉が出てこなくて、どう書いたらいいものか。
2011年の作品。原作ティエリー・ジョンケ(ハヤカワ文庫)

主な舞台は世界的な形成外科医ロベル・レガ(アントニオ・バンデラス)の大邸宅。邸宅の中に手術室があり監禁室あり。死体を埋めてもバレない広さの庭があり血の付いた寝具を燃やしても平気なのである。趣味は盆栽で、植木を剪定して自分の思う姿に矯正する。人間も思う形に仕上げられるわけだ。

ロベルの妻ガルは自動車事故で大やけどを負い、療養中に窓ガラスに映った醜いケロイドの自分の姿に絶望し自殺する。一人娘のノルマは母の自殺を目撃したショックで精神を病みクスリを常用している。偶然パーティで出会った洋品店の息子ビセンテ(ジャン・コルネット)とノルマは腕を組んで庭園へ出る。二人は抱き合うがノルマが大声で叫びだしビセンテは逃げ出す。ロベルは死んだ娘を見つけて、ビセンテを探し出し追う。
ついにビセンテを捕まえて監禁したロベルは、ビセンテを去勢し性転換手術をほどこし人工膣を装着する。膣を広げるために小から大のペニスを並べて受け入れ態勢を整えさす。ついにビセンテは美女に生まれ変わる。ロベルは彼女をベラ(エレナ・アナヤ)と名付ける。
鍵のかかった部屋で孤独に過ごすベラはテレビでヨガへの誘いを見てヨガの本を要求し熱心に学びはじめる。美しい肉体のヨガのポーズ。

ついに、ロベルの拳銃を手にしたベラはロベルを撃つ。
ようやくベラはロベルの邸宅から逃げ出して母の洋品店へ帰った。

思い出しつつストーリーを綴った。こういう映画が好き。

ペドロ・アルモドバル監督『トーク・トゥ・ハー』

『トーク・トゥ・ハー』(2002)は『オール・アバウト・マイ・マザー』と『ボルベール〈帰郷〉』の間に位置するペドロ・アルモドバル監督「女性賛歌三部作」の二作目。

とても激しい作品で見ているだけで疲れたがその疲れが心地よくもある。
バレエを見ている観客席に二人の男性がいる。マルコは舞台を見ながら涙を流している。ベニグノはそれをいぶかしく思っている。

母の介護を15年間続けたベニグノは母の死後マンションのベランダから見えるバレエ教室の練習を眺めていて、ダンサーのアリシアに恋をする。財布を落とした彼女が拾ってくれた礼をいうとぐずぐずとした態度。結局後をつけて住まいを確認する。
その後アリシアが交通事故に遭い植物人間になると、介護師となって病院に就職し彼女の看護を積極的に引き受ける。彼女の体や髪を洗いマッサージするのが喜びになって4年経った。

旅のライターのマルコは女性闘牛士のリディアと知り合い愛し合うようになるが、彼女は闘牛場で牛に刺されひどい怪我をしアリシアと同じ病院で治療を受けるも目を醒ますことなく死亡する。マルコとベニグノは病院で親しくなるが、マルコは仕事をするべく旅に出る。

病院ではアリシアが妊娠していることがわかり騒ぎになる。
サイレント映画を見に行ったベニグノが見た映画、女性科学者が発明したクスリを飲んだ男性の肉体が縮んでいき、小さくなった彼は眠っている女性の性器の中に入っていくというもの。
ベニグノは逮捕され刑務所に収監される。

事情を知って慌ててベニグノに会いにいくマルコの必死さ、二人の間に愛があるのがわかる哀しくも美しいシーン。マルコはアリシアが昏睡状態から醒めたことを知るが、ベニグノには言うなと口止めされる。

元旦の夜に見た映画。2日連続でペドロ・アルモドバル監督の作品を見て疲れた。

ペドロ・アルモドバル監督 ペネロペ・クロス主演『ボルベール〈帰郷〉』

ペドロ・アルモドバル監督の映画を全部見たいとずっと昔に『オール・アバウト・マイ・マザー』を見たときから思っていたのに、なぜか『抱擁のかけら』と『バッド・エデュケーション』しか見ていなかった。しかも当ブログに『抱擁のかけら』の感想が見当たらない。書いてないはずないので探さなければ。

先だって相方が友人に勧められたのは劇場上映中の『ジュリエッタ』なんだけど、映画館にめっそいかないわたしらは昔から見たかったのにまだ見ていなかったのを家で見ることにした。『ボルベール〈帰郷〉』(2007)を昨夜大晦日から元旦にかけて見た。

ライムンダ(ペネロペ・クロス)は夫と娘のパウラと暮している。失業した夫は妻に冷たくあしらわれ、義理の娘のパウラに手を出す。抵抗したパウラは父親を台所の包丁で刺し殺してしまう。
ライムンダは泣いている娘から真相を聞き、夫の死体を隠そうと流れた血を拭き取り毛布に包む。そこへ近所のレストランの店長が来て、店じまいするから鍵を預かってくれと頼む。気付かれなくてよかった。

その地へ来ていた映画撮影の人がレストランのそばにいたライムンダを見て店の人と思い大勢のランチを頼む。ライムンダは友だちの顔を見るとパンやケーキを焼いてくれるように頼み、お金を借りて買い物に行きランチの支度をする。料理の手際がよくて新鮮な野菜がうまそう。

物語の展開が早い。殺人だけでなく死んでいたはずの人が出てきたりしてすごくおかしい展開。夫の死体は友人の手を借りて遠くへ埋めに行く。埋めたところにある大きな木の幹に墓碑銘のように文字を彫りつける。

撮影隊がレストランで打ち上げパーティするときライムンダは歌を歌う。それをじっと見る娘と姉と長いこと隠れていて現れたばかりの母親。姉の美容室でライムンダから隠れるところがおかしい。

『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続くペドロ・アルモドバル監督「女性賛歌三部作」の三作目。

映画『ジュリエッタ』を見る代わりに原作の本、アリス・マンロー 小竹由美子訳『ジュリエット』(新潮社 2400円+税)を読むことにした。昨日深夜アマゾンに注文した本が今日夕方届いた。すごい。