近藤ようこ(原作 折口信夫)「死者の書 上」

先月だったか、寝るときにiPad miniで青空文庫の「死者の書」を読んでいると書いた。それを読んだ親切な友人が「死者の書」は難しかったのでマンガで読んだと送ってくれた本が、近藤ようこさんのこの本である。
折口信夫がマンガになっているのにびっくり!! わたしは最近原作を読んだからええわと言っていたのだが、マンガや本が近くにあればいずれ手に取る(笑)。

近藤ようこさんがどんな作品を書いているかは知らないが、「あとがき」に【四十年前に初めて読んだ『死者の書』を、やっと漫画にすることができました。】と書いておられる。そして【折口信夫を全く知らない人にための「死者の書・鑑賞の手引き」だから読者には最終的に原作を読んでいただきたいのです。】と続く。
上巻は第八話まであって、今年の1月から8月まで「月刊コミックビーム」に連載された。すぐに単行本になったのがここにあるわけだ。そしたら下巻が出るのは来年の後半か〜
まあ、原作を読んでいるのだからわたしはいいけど(笑)。

若いときの数年間わたしは奈良のお寺を巡ってけっこう歩いた。当麻寺も何度か行っている。そのときは「死者の書」の存在を知らなかった。ただ奈良中心部のお寺と違う鄙びた感じが好きだった。
それから何年か経って折口信夫と「死者の書」を知った。
近藤さんは40年前に原作を読まれたそうだが、わたしが読んだのもそのころだ。
ある春の日、出会って間もない相方と竹内峠を歩いて当麻寺まで行った。お庭を見たりお寺の本堂に上がらせてもらって午後から暗くなるまでいた。夕暮れ時には、した、した、した、と歩く音がしないかと土に耳をあてたりした。

そして、二上山! 泉北に住んでいた3年間は毎日二上山を眺めて暮らしていた。
いま、この本の裏表紙の二上山を眺めている。素晴らしい。
(KADOKAWA 740円+税)

死者の書(上) (ビームコミックス)