エドワード・D・ホック 木村二郎訳『怪盗ニック全仕事6』

※すみません、最後にオチが書いてあります。
エドワード・D・ホックの作品はどれも登場人物が穏やかでとぼけていているところが好き。特におかしくて真面目な怪盗ニックのシリーズが好き。最初読んで楽しみ、二度目を読んでも同じところで楽しめる。たまにそんな自分のことをアホちゃうかと思うけど、楽しむ才能があるんやからしゃあない。子供のときといっしょで心が暖かくなる物語が好きなのである。『小公女』を何度も読んで幸せになったように、怪盗ニックといっしょに冒険して危険を脱して依頼者からお金を受け取るニックといっしょにほっとする。

ニックにはグロリアという良き相棒がいる。最初に読んだ時からいっしょに住んでいてガールフレンドと書かれていた。ニックのことを政府の秘密の仕事をしている人といわれて信じ込んでいた。泥棒とわかっても動じず。ときどき協力するもんね。

今回ははじめてニックとグロリアの馴れ初めの話をしてくれる。目次の二つ目にある「グロリアの赤いコートを盗め」。
ニックはグロリアの赤いコートを盗んで欲しいと依頼を受ける。グロリアは1965年の初冬にオハイオ州の短大を出てニューヨークの出版社で働いていたとき、買ったばかりで1回だけ着た赤いコートを盗まれる。
ニックがグロリアの部屋に忍び込んだときニューヨーク市中が停電し、ろうそくをつけた部屋で二人はサンドイッチとビールでおしゃべりする。

コート泥棒の依頼人とグロリアは知り合いだった。仕事場から一緒に歩いていたとき、グロリアはふいに突き飛ばされそうになる。見張っていたニックが引っ張って助ける。
その晩はグロリアの部屋でビールを飲み、ニックは引っ越してこないかと聞くがグロリアは断る。でもクリスマスには赤いコートを買ってくれ映画に連れて行ってくれた。その2日後にグロリアは引っ越した。

(木村二郎訳 創元推理文庫 1300円+税)

※ミステリーだけど、ストーリーを書いてしまった。