祇園祭やさかいに川端康成『古都』を読む

先日姉と話していたら妹と電話で朝日新聞の連載小説の話で盛り上がったという。昔みたい。そう昔みたいに姉と妹はいまだに朝日新聞である。昔は親たちも子どもたち7人もみんな連載小説を愛読したものだ。晩ご飯は連載小説の話題とともに(笑)。

川端康成の『古都』は1961年10月から朝日新聞に連載された。そうか、60年安保の翌年か〜
安保闘争のあと、わたしがしょぼんとしていたときの気分に合ったんだろうな。そのころは小さな会社で働いていて、言うならばひまわり娘みたいな存在だった(笑)。京都から通勤していた同僚の男性が祇園祭に誘ってくれ、祭りの後は古い町屋の自宅に泊めてくれた。『古都』を愛読していたわたしは千重子の気持ちになって祭りの人混みの中にいた。

次に祇園祭の京都に泊めてもらったのは70年代になってジャズ喫茶マントヒヒに通っていたときだ。マスターの木村さんと常連たちと京大西部講堂でのコンサートの帰りに飲んだ後に木村さんんの下宿先に泊まらせてもらった。関大教授で関大ジャズ研顧問になった木村さんが京大大学院に学んでいたときだ。

祇園祭をもう一つ思い出した。やっぱり70年代だったか、西部講堂で催しがあり、あんまり面白くなくて早めに引き上げた。そのとき街は祭り一色だったがあまりにも暑くて、今日はもうええやんと帰ってきた。
それ以来、祇園祭はニュースで知ってるだけである。

夏になると『古都』を引っ張り出す。文庫本が傷んでくると新しく買い直して読む。電車で出かけるときはバッグに入れておく。
古都・京都に生きる千重子と苗子、父と母、竜助と真一、秀男、竜助の父、みんな好きどす。こんなに愛読している新聞小説は他にない。