佐伯清監督『昭和残侠伝 一匹狼』

引き続いて第3作「昭和残侠伝 一匹狼」(1966)を見た。
古くからの銚子の漁港の網元浜徳と彼を助ける潮政(島田正吾)一家に対して、新興の川鉄一家は暴力と札束で、漁師らを自分の手中にしていく。武井繁次郎(高倉健)が病気の潮政の娘を助けてきたのはちょうどその最中だった。勘当した娘だからと会おうとしない潮政だったが、娘の墓前で義理を立てて会わなかったことを繁次郎に話し、繁次郎はここでやっかいになることになる。
一方、桂木竜三(池部良)は川鉄一家の世話になっている。近くで小料理屋をしているのが妹の美枝(富司純子)で、繁次郎に惹かれていく。
そして、川鉄一家の横暴が極まっていき、竜三は繁次郎と勝負するはめになるが・・・そして最後はふたりの斬り込みとなる。

最初のシーンでさしていた傘を投げ捨て警察署に入って行く池部良がいい。高倉健と池部良がストイックでひときわ美しい。そして古風な折り目正しい生き方を貫く潮政の島田正吾が絶品だった。

暗いつらい映画だ。昭和初期という時代設定と製作された60年代と原発事故の現在とが重なる。