58年前にたった一度しか見ていない映画だけど、エマニュエル・リヴァと岡田英次が抱き合うシーンをいまだに覚えている。そして彼女がドイツ人男性と愛し合ったことで戦後のフランスで頭を丸坊主にされ引きまわされるシーンも強烈だった。
彼女のつぶやき「私、広島で何もかも見たわ」彼が答える「君は何も見ちゃいない」繰り返されるこの言葉もよく覚えている。いま思い出すとデュラス的なセリフだが、当時はふーん、こんなシーンになる恋愛がしたいと思ったり、こんなシーンはつらいやろなと思ったり。岡田英次がかっこよくて満足だった。
監督アラン・レネ、原作がマルグリット・デュラス(当時は知らなかった)、製作者は永田雅一(大映社長)とフランス人のジャック・アンドレフェー、1959年製作。
十三の大映映画館に一人で行ったんだけど実は岡田英次のファンだったから。まだ子供時代から抜けてなかったといまにして思う。のちにアラン・レネ監督について知り上映された映画をほとんど見て、デュラスの本をたくさん読むようになった。
『ヒロシマモナムール』という映画が『24時間の情事』という名前で封切られたことに憤慨したが、それはもっと後になってからだ。
続編のような吉田喜重監督のヒロシマを描いた『鏡の女たち』(2002)を思い出した。