ジーン・ポーター『そばかすの少年』とリンバロストの森

何度も読んでいる古い物語の1冊。たいてい広げたら好きなところを出して読むが、今回は最初から読んでみた。そしたら物語はもちろんわかりすぎているけど、細部がはじめて読んだみたいに新鮮で、そりゃ美しい物語で、こんなところがあったっけかとうれしい読書である。

村岡花子訳の角川文庫マイディアストーリーの1冊。同じ文庫の『リンバロストの乙女 上下』の前編になる。主人公の「そばかす」は火事で両親を失った上に片腕を失い孤児院で育った。仕事を探そうと孤児院を出たそばかすは、お腹を減らして森へたどりつく。森の木材の権利をもつマックリーンさんは飢えた少年と話して清潔な人柄に感じるものがあり森の木材の見張り役に雇う。

それからは森のはずれに住むダンカンさん夫婦の家に寝泊りして一生懸命に働くのだが、森の生き物や植物の生態に目覚め勉強をはじめる。もちろん仕事の手は抜かない。
気に入った場所を自分の「部屋」としていろんな植物を壁や床に生やし、マックイーンさんが注文してくれた大きな箱に本などの「宝物」を入れた。
そのリンバロストの「部屋」はのちに「リンバロストの乙女」であるエルノラに好きに使うようにと伝言があった。

「リンバロストの乙女」の終わりのほうで、エルノラがわけあって家を出たとき「そばかす」に助けを求めて会いにいく。彼は立派な大人になっていて、初対面の二人はのっけから話が合い、彼は彼女をエンゼルがいる自分の家に連れて帰る。リンバロストの森を愛する人はみんなともだちだ。