大日本雄辯會講談社発行 「少年講談」(わたしの戦争体験記 52)

戦争中の読書を考えると次々と読んだ本を思い出すことになる。学校にあがる前から少女ものを読んでいたが、これは姉2人が持っていたおかげで、吉屋信子をはじめとする少女小説と少女雑誌があったおかげだ。

それだけでなく、わたしは少年ものも好きだった。姉2人の下に兄が2人いて父親が買ってきた少年ものがたくさんあった。佐藤紅緑の『あゝ玉杯に花うけて』『夾竹桃の花咲けば』なんか好きだったなあ。それに新町には近所に貸本屋さんがあって、兄たちは毎日のように借りに行った。借りる本はほとんど「少年講談」で、わたしは兄たちが読んだあとに回してもらって読んでいた。1冊を3人が読むので割安だ(笑)。

少年ものだけでなく熱中したのが時代もので、いまここで名前を思い出せるだけ書いてみようか。と書き出したものの、記憶力散漫ですぐには名前が出てこない。ネットのお世話になりながら書き出したのは以下で順序はばらばら。
田宮坊太郎、荒木又右衛門、柳生十兵衛、岩見重太郎、三好清海入道、稿団右衛門、真田幸村、猿飛佐助、荒木又右衛門、塚原卜伝、後藤又兵衛、などなどキリがない。
なかでも一番好きだったのが塚原卜伝。最後のほうで、白髪の卜伝が田舎の家でいろりに鍋をかけて座っているところへ悪漢が現れ刀を向ける。木の鍋ぶたを手にもって刀を受け、やっつけるところがかっこいい卜伝さまはいまもわたしのヒーローである。