ジェームズ・アイヴォリー監督『ハワーズ・エンド』

昨日見たアイヴォリー監督の映画「最終目的地」があまりにもよかったので、その勢いでまた見てなかった「ハワーズ・エンド」(1992)を見た。原作はE・M・フォースターの1910年の小説。
画面が美しく上品なのでさらっと見られるが、内容はとても厳しい。イギリスの上流階級の堅固な守りの意識と行動、そこへ這い上がれない下層階級の少し上の階層(事務労働者)の人間が描かれていてせつない。

20世紀はじめのロンドンに、姉マーガレット(エマ・トンプソン)、妹ヘレン(ヘレナ・ボナム・カーター)、弟ティビー(エイドリアン・ロス・マジェンティ)の3人姉弟が住んでいる。マーガレットは知的な美人、ヘレンは芸術家肌、弟は学生。遺産で豊かに暮らしている。講習会からヘレンが傘を持って帰ったのが縁で事務職のレナード(サミュエル・ウェスト)と知り合う。レナードは向学心があるが、だらしない妻がいて食べて行くために必死で働いている。
向こう側のアパートにウィルコックス一家が引っ越してきて、マーガレットは当主のヘンリー(アンソニー・ホプキンス)と妻のルース(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)と親しくなる。ルースとは特に仲良くなるが、彼女は郊外にあるハワーズ・エンドの話をよくして、一度見に行ってほしいと何度も言う。そして亡くなるときにメモ書きでハワーズ・エンドをマーガレットに譲ると書き遺す。
しかし、ウィルコックス家の人たちはメモ書きだからと遺書を燃やしてしまう。
ヘンリーはマーガレットにだんだん惹かれていき求婚する。いままで女権論者だったマーガレットが応じて婚約。着るものもカジュアルから普通の人のように。
ヘンリーの2人の息子夫妻は自分たちの財産を心配して困惑する。
ヘレンは姉を批判しレナード夫妻と親しくしてウィルコックス家の人たちを困惑させ、ついに事件が起こる。