春は貝が美味しいからひな祭りのご馳走は貝を入れると母親が言ってたのを覚えている。実際にひな祭りに母が貝の料理を作ったかどうかは覚えてない。だいたいひな祭りのご馳走など食べたことがないような気がする。貧乏人の子沢山だからご飯を食べさすだけでせいいっぱいで、子どもたちもそれが当たり前と思っていた。
ひな祭りのご馳走は、働き出してからできた友だちが作ってくれた。コーラスで知り合ったSさんは両親をすでに亡くしていたが遺産で豊かに暮らしていた。華やかなひとで歌う方は彼女が中心になっていて、わたしは歌以外の世話をする役にまわっていた。いまも同じようなものです(笑)。
Sさんは料理が得意で母親譲りの食べ物をよく作って誘ってくれた。ひな祭りのちらし寿司もそのひとつ。しかも「お母さんへ」と土産にもたせてくれた。
数年後に結婚して東京へ行ってしまった。サルトルとヴォーボワールが来日したときに新婚家庭に泊めてもらったが、それから会っていなくて、いつの間にか連絡が切れてしまった。
そんなことを思い出しながら食べた今夜の「アサリのパスタ」がすっごくうまかった。
今日の晩ご飯:白ワイン、葉っぱのサラダ、アサリのパスタ、鳴門ワカメとジャコ炒め、豚肉煮+ザワークラフト、野菜スープ、バケット、紅茶。