先日久しぶりにミナミの映画館に行ったとき、目的地に近いところの本屋さん「波屋書房」があるか確かめた。ちゃんとあってほっとしてなにか欲しい本があればいいなと中に入った。昔と同じように入ったところにはプロが読む料理本がものすごくたくさん置いてあって懐かしい。
レジにはご老人と若者がいた。レジの後ろ側に文庫本があるのを見ていたら翻訳ミステリがあった。『その女アレックス』と『悲しみのイレーヌ』が平積みしてあって棚にもいろいろ並んでいる。これ新刊やったなと.G・K・チェスタトン『ブラウン神父の知恵』(坂本あおい/南條竹則訳 ちくま文庫 16年1月発行)を買った。新刊だけど古風なところが波屋書房に合っていると思って。
ブラウン神父ものを読んだのは何十年ぶりだろう。子どもの時以来だ。そうそう生意気時代にミステリを離れてフランス文学や難解な評論集などをかじっていたとき、花田清輝さんがブラウン神父を持ち上げたエッセイを書いていたっけ。こんなジャンルにも明るいぞと得意げに語る花田清輝さんに憧れた。一度講演会でお話を聞いたことがある。話しながらハンカチを広げては丸めてた。
『ブラウン神父の知恵』久しぶりに読んだけどおもしろかった。新訳だから読みやすかったのかな。