蓮實重彦『伯爵夫人』をもう一度

『緋牡丹博徒』のシリーズを4日連続で見て疲れた。映画を見終わってから検索して登場人物やストーリーを確認して一応の感想のごときものを書いて、そのことをくっちゃべって、寝るまで大変。しかも昨日とおとといと三島由紀夫賞を蓮實重彦さんがもらって記者会見というのがおもろいと知ってネットで探して見た。おとといはニコ動で蓮實さんの会見の様子、昨日はその前の町田康氏の記者会見。両方見たから蓮實さんの態度もよくわかった。

わたしは○○賞というのに興味がない。新聞をとるのをやめたら○○賞があることさえわからない。それでも去年の芥川賞の騒ぎは伝わってきて中継を見た。又吉さんは感じの良い作家さんでお話を楽しめたし、姉に『文藝春秋』を借りて読んだ。容姿が気に入った直木賞の東山彰良『流(りゅう)』を買って読んだが、こっちもおもしろかった。

今年はまた無関心にもどっていた。そこへ三島賞。賞よりも先に作品を読んだ。
蓮實さんの小説を読みたいと思ったのは、最近よく読む吉田喜重さんの本に書いておられる文章が気に入っていたのと、『伯爵夫人』は「エロい小説」という噂を聞いたから。『新潮』を買って読んだら長い小説なのにやめられないおもしろさ。おもしろいし猥褻な言葉が出てくるけどエロくはない。その点がもの足りないとわたしは思った。エロくないと思ったのはひょっとしてわたしだけかもしれないが。

第二次世界大戦が始まるその日のその夜のもの苦しさが伝わってくる。何者だったのか伯爵夫人が去っていった。これからもう一度読む。
(新潮4月号 954円+税)