散骨部分を見たくてレンタルDVDで見た。1995年製作だから21年前の映画だ。1995年の1月に阪神大震災があった。当時は映画も原作小説もずいぶんと評判になって知り合いはたいてい見に行ってた。わたしは評判が静まったころに小説は図書館で借りて読み映画はレンタルビデオで見た。それからテレビ放映で一度見たっけ。
わたしはずっとクリント・イーストウッドの大ファンで、たいていの映画は映画館で見てきたが、震災の頃から映画館には足が遠のいていまにいたる。
最近クリント・イーストウッドが共和党のトランプ氏を推しているのをメリル・ストリープがたしなめたとかネットニュースで読んだが、『マディソン郡の橋』からの付き合いやったのね。
アイオワ州マディソン郡ウィンターセットに造られた特設セット『フランチェスカの家』で42日間にわたっての撮影だったそうだから、ずいぶんと親しくなったでしょう。
フランチェスカは農場の主婦といっても元々はイタリア人で、第二次大戦のときに進駐してきた米兵と結婚して、アイオアにきた女性である。夜の散歩でイェイツの詩を口づさむとロバートがあとを継ぎ、アイルランド人だからと言ったけどインテリどうし。
ありえない恋がアメリカの片田舎で花開く。古い屋根付橋(やねつきばし)の写真を撮りに来たカメラマンと道順を教えた農場の主婦の恋。夫と子どもが子牛の品評会に出かけた4日間という日にちが、燃え上がった恋を消す時間としてよかったのね。
夫が運転する車に乗って買い物から帰るフランチェスカと家路につくロバートの車が交差点で前後になる。夫はわかっているけど何も言わない。妻は涙を拭いてじっとしている。濡れながらクリント・イーストウッドが立っている。