ジョージ・C・スコットの「クリスマス・キャロル」(クライブ・ドナー監督)

晩ご飯のあとになにか映画を見ようと何本か候補があがった。「クリスマス・キャロル」を見たいと主張したのはわたしだけど自分でもおかしくなった。いくらディケンズが好きでいろいろ読んでいるといってもクリスマスに吝嗇を改心する話を見たいなんて。いやいや、これには理由があるのです。
半年くらい前に中沢新一の『純粋な自然の贈与』を読んだのだが、数編の論文の中の「ディケンズの亡霊」というタイトルに惹かれた。ディケンズの亡霊ってなんのことかと読み始めたら「クリスマス・キャロル」が主題になっていた。長いあいだ忘れていた物語を中沢さんの導きで再び読めて、しかもわたしの目には見えていなかったものが示されている。
「クリスマス・キャロル」をわたしはこどものときから家にあった絵本でよく知っていた。その物語が教訓的だとさえ思っていた生意気な子どもだった。
それだけに「ディケンズの亡霊」を読んだ時はそんな大切なことが書いてあったのかと驚き、知ったことに感謝した。

今日見たのはいままで9本製作された「クリスマス・キャロル」の中の3作目、ジョージ・C・スコットがスクルージを演じている1984年の作品。
ジョージ・C・スコットのスクルージさんはそのままのスクルージさんぽくて微笑ましく見た。従業員のクラチットさん、甥のフレッドも物語にあるとおりだった。

クリスマス・キャロル (字幕版)

さっき素直な気持ちで友だちへのメールに「メリー・クリスマス」と書き添えた。

(『純粋な自然の贈与』 講談社学術文庫 960 円+税)
純粋な自然の贈与 (講談社学術文庫)