レジナルド・ヒル『ベウラの頂』(2)

ベッツイの母は薬の過剰服用で亡くなり、父親は石を上着のポケットに詰めて入水自殺した。ひとりになったベッツイは金持ちの親戚ウォルターとクローイ・ウルフスタンに引き取られやがて養子縁組する。そして一流の精神科医によって治療を受ける。
いまはほっそりとしたからだで金髪のかつらの美女で未来あるクラシック歌手である。クローイにとっては行方不明になったままの娘メアリーの代わりになるはずもないが、受け入れている。
そういうことをダルジールに話したのは上流階級出身のキャップだった。二人の仲は修復されていく。
村の人たちが15年前と同じように迷宮入りするだろうといっているのを感じてダルジールはあせる。

ノヴェロ刑事は当日外にいた人たちが見かけた車について調べる。ゴミ箱のゴミをビニール袋に入れて持って帰ったのが決定的なところで役に立つ。
先の見えない捜査中にパスコーとエリーの娘ロージーが重病にかかり入院する。ノヴェロはパスコーに替わって調査仕事をやりとげる。ノヴェロはカトリック教徒でロージーのために蝋燭をあげて祈り、そのことをパスコーに告げる。

ウィールドの恋人エドウィンが社主のイーンデイル出版社が出した絵本「ニーナとニックス」をウィールドがロージーにプレゼントした。この地方に伝わる少女と怪物のお話をロージーはいまいちばん気に入っている。この本がエリザベスが歌う「亡き子を偲ぶ歌」とともに物語の背景になっている。
(秋津知子訳 ハヤカワポケットミステリ 1800円+税)