ジョージェット・ヘイヤー『紳士と月夜の晒し台』

ツイッターで本書の刊行が楽しみというツイートを発見したので東京創元社のお知らせを見た。あった、あった、5月下旬発売となっている。久しぶりに発行を楽しみに待って買った。
タイトルが「紳士と月夜の晒し台」(1935 原題は Death in the stocks )って、思わせぶりなところがいい。

ジョージェット・ヘイヤー(1902-1974)はロマンス小説で人気が高いそうで、いま検索したらたくさんのファンのかたのサイトが出てきてびっくりした。本屋に行ったらMIRA文庫を探しそうでコワイ(笑)。

わたしのお気に入りのクラシックミステリ、ドロシー・L・セイヤーズやエドマンド・クリスピンやジョセフィン・ティと共通しているところがある。登場する女性たちだ。なんて自由におしゃべりし、なんて自由に行動するんでしょ。ジェーン・オースティンの描いた女性たちもそうだけど。

月夜の晩に、ロンドンからすこし離れた村で、夜の巡回を終えて帰宅しようと自転車で走っていた巡査が、広場の晒し台に男性が座っているのを見つける。側に行くと晒し台の穴に両足を突っ込んでいて、酔っているのかと近づいて触るとぐらりと倒れ、死んでいるのがわかる。週末限定の住人アーノルド・ヴェレカーだった。警部と医師が調べると背中を刃物に刺されほとんど即死だった。

翌日、警部がアーノルドの家に行くと、腹違いの妹のアントニアが泊まっていた。アントニアはロンドンから従兄弟の弁護士ジャイルズを呼ぶように頼む。ジャイルズはスコットランドヤードの警視ハナサイドといっしょにやってきた。
アーノルドは金持ちで、腹違いの弟で画家のケネスと妹アントニアは貧しい。アーノルドの死で遺産がケネスに入ることがわかる。
ケネスには美人の許婚者ヴァイオレットがおり、アントニアはルドルフと婚約している。レスリーは兄妹の幼なじみで、ケネスに惹かれている。
饒舌な兄妹と偉そうな態度のヴァイオレットのやりとりに悩まされながら、ハナサイド警視とジャイルズは捜査を続ける。(ここでNHKでチェルノブイリのドキュメンタリーを見たので、続きはまた後に)
(猪俣美江子訳 創元推理文庫 980円+税)