大阪駅ステーションシネマで『鉄路の斗い』を見た

最近買い物するのに大阪駅のイカリスーパーへ行くことが多い。明るくて美味しいものが揃っていて買いやすい。駅の建物に入って歩いているとふと思い出すときがある。イカリの隣りには明るいティールームがあって賑わっている。このあたりが暗かったことを思い出すこともない。北側は相変わらずの高架下だが昔とはずいぶん違って明るくなった。
『鉄路の斗い』は石原裕次郎主演作と二本立てだった。ということで、裕次郎の映画のリストをみたらすぐにわかった。

かたや、ルネ・クレマン監督、アンリ・アルカン撮影のモノクロ映画、フランスの鉄道労働者のナチス抵抗を描いた作品である。この映画のことを知ってから絶対見たいと思っていた。大阪駅構内だからどこにでも行くぞというほどの決意ではなかったけど。でも誘う友だちがいなかったのだから孤独やったんやな。
労働者たちが処刑されるときに小さな虫が壁に止り、羽のゆらめきを一人の労働者がじっと眺めていて、すぐに銃の音が響き彼は倒れる。忘れられないシーンだ。

そうだ、裕次郎はたしかドラマーの役だったと思い出して調べたら『嵐を呼ぶ男』で、封切りは昭和32年である。多分、ステーションシネマは二番館だろうからその翌年くらいかな。記憶をたどると、一人で行き、はじめて入る映画館であったこと、トイレの匂いが漂っていたことくらいしか思い出せない。