ぼちぼち書き溜めていこうと思っています。
東京の思い出 その1 東京生まれ
わたしは戦前の東京で生まれた。住所は東京都品川区五反田まで知っていてあとは覚えていない。姉か兄に聞いたらわかるだろう。両親と姉2人と兄2人と弟の8人で5歳ぐらいまで住んでいた。
覚えていることは少ない。簡素な家があり狭い庭があり巡らした木の塀から外に出る木戸があった。庭に立っている洗濯干し竿に母がいつも洗濯物を干していた。
洗濯干しが終わると母は木戸から外に出て買い物に行く。弟をおぶった母に手を引かれて出ることもあったが、留守番するようにいわれて庭や縁側で遊んでいた日が多かった。ある日、母が買い物に出たのを追いかけて迷子になり、お巡りさんに連れて帰ってもらった。迷子札をつけていたので助かったそうな。
東京の思い出 その2 紙芝居
家の庭の周りに低い木の塀が巡らされていたが、ある日、紙芝居屋さんが塀の外に来て仕事を始めた。わたしは塀の中から板の間に顔を突き出して外の子供達といっしょに紙芝居を楽しんだ。「おたけ〜」と女中さんを呼ぶお嬢さんが出てくる。姉の名前が武子なので、姉が呼ばれているような気がした。
紙芝居が終わって顔を引っ込めようとしたら引っかかって入らない。耳が邪魔になってたみたい。通りかかった大人が顔を引っ込めてくれたのだが、それを兄が見ていて、「あれは◯◯だ」と当時の喜劇俳優の名前をいった。ほんまかどうかはわからないまま。