思い出いろいろ 第5回

東京の思い出 その6 関東大震災

わたしの両親は大災害に二度遭遇している。関東大震災と大阪大空襲だ。二度とも家を焼かれなにもかも失った。なぜか生き延びたのが不思議だといつもいっていた。

我が家は年齢が合わなかったのでひとりも戦争に行かずにすみ、近所の人たちから陰口をいわれていた。

関東大震災のときはわたしはまだ生まれていない。母親は長女を妊娠中だった。両親ともにもういないので聞いておけばよかったと思っても後の祭りである。
地震があったときは家から逃げ出し、近所の空き地に逃げて松の木の根っこに座って揺れが過ぎ去るのを待ったとか。家は丸焼けだったそうだ。

東京を去るのだから見ておこうと震災の記念館のようなところへ連れて行かれた。お寺だったのか会館だったのか、いろんな記録や写真があって恐ろしかった。また父母の会話が、このへんは死体の山だったとか、朝鮮人が殺されるところを見たとか、子供には恐ろしすぎた。いまも覚えているくらいだからショックだったんだろう。