『剣客商売』シリーズ最後の1冊を読み終わった。まだ買ってなくてどうしようかと思っていた「ないしょ ないしょ」をつるかめさんが貸してくださって読了できた。
今回は「黒白」の重苦しいほどの剣の達人物語と違って、お福という優しくしっかりした女性の仇討ち物語を含んだ半生記である。
最初の雇い主に強姦されて、仕返しに朝の味噌汁にねずみのフンを刻んで入れたお福。雇い主はそれを知ったが笑ってすませた。
雇い主が惨殺され、働く場所をなくしたお福は下男の五平といっしょに江戸へ出て女中奉公の口を見つける。
年老いた雇い主が早朝の庭で毎朝練習している手裏剣投げを見ていて投げさせてもらう。お福には投げる才能があったようで、練習に精を出し手裏剣が思うところに投げられるようになった。雇い主が亡くなったあとも練習に精を出す。手裏剣は腰で投げる。
お福は誠実に働きながら殺された元の主人の仇を探し出し、秋山小兵衛の助けを借りて仇に向かう。お福の手裏剣は仇の目と背中に刺さった。小兵衛は女は人殺しをしてはいけないと、自らが仇の腕や足に刀をふるい、殺さずに御用聞きの弥七らに細引き縄を打たせる。
小兵衛さんと医者の小川宗哲先生が出てきてお福に優しくしてくれるところでにっこり。肩を張るところがなく暖かい気分で読めた。