姉の影響でフランス映画を10代のころに見まくった。名画上映というのがけっこうあって、小さな映画館で見たし、新作も無理して見に行った。姉の服の手直しなんかを頼まれてお金を稼いだ覚えがある。阪急電車に乗るのを節約して十三駅まで歩いて行ったことも何度かある。中学のころから、いまもあんまり変わらないなあ笑。
フランス映画が大好きで、その中でもミシェル・モルガンが大好きだった。彼女の映画ならなんでもよかった。インテリ向けのから大衆向けのものまでいろいろな作品に出ていた。頬骨が高くて青白い肌で、抜きん出た美貌。一度見て良いと思うと2番館から十三の映画館、ぐっと郊外の西宮の映画館まで追いかけていた。
『狂熱の孤独』は、ジャン・ポール・サルトルとイヴ・アレグレの原作だそうで、相手役がジェラール・フィリップだった。狭いホテルの一室でブラウスを脱いでスリップ1枚になったモルガンが肩や胸の汗を拭うシーンがリアリティがあって、見ているわたしも汗ばんだ。
モルガンの映画は『思い出の瞳』『ガラスの城』『霧の波止場』を何度も追いかけて見た。いまタイトルを調べていたら、その映画のシーンが蘇ってきた。高い頬骨と澄んだ瞳、深い声、笑ったときの頬と笑い声が神秘的だったなあ。
『狂熱の孤独』はあまり評判がよくなかったし、モルガンファンとしてももうひとつ熱狂できなかったけど、いまもいろんなシーンが忘れられない映画だ。