新しい元号(令和)発表のときに『万葉集』についての論評をツイッターで知ってちょっと興味を持った。今日図書館で元の意見が出ている本を相方が借りてきたのでその章だけ読んでみた。
東京大学教養学部編『知のフィールドガイド 分断された時代を生きる』(白水社)
III 現代にこだまする歴史
『万葉集』はこれまでどう読まれてきたか、これからどう読まれていくだろうか 品田悦一
難しそうと思ったがそうでもなかった。
わたしは『万葉集』は岩波新書の斎藤茂吉『万葉秀歌』しか読んだことがない。それも大昔に買ってざっと読んだだけだ。好きな歌もあったが忘れてしまった。だから品田さんの文章を読んで、「ああそうなのか」と思うところが多かった。
最後のほうに「うみ行かば」のことが書いてあってびっくりした。元は大伴家持の歌だって。
海行かば 水漬く屍(みづくかばね)
山行かば 草生す屍(むすかばね)
大君(おおきみ)の 辺(へ)にこそ死なめ
かへりみはせじ
山梨の学校で『君が代』の次に歌わされた歌だ。いまでも歌える。兵隊さんのみならず、子供のわたしらまで死ぬことを強制されてるみたいで好きでなかった。本書で品田さんに教えられて子供のときの嫌悪感がわかった。
引用「・・・勇ましい歌は、『万葉集』全体でもごく僅かしかないのにそういう例外的な歌をことさら取り上げ、戦争遂行に利用するという恣意的かつ一面的な扱いがまかり通っていたのである。」