こよみによれば、昨日13日は中秋の名月で今日14日は満月とややこしい。まあどちらにしても美しい月さえ見られれば満足だ。うちのベランダからはまだ月は見えない。昨夜は何度も見たけど雲がかかっていた。今夜の夜中はどうだろうか。
子供のときからお月さんを見るのが好きだった。「わたしがあるく、おつきさんがあるく」と活字が入ったお月さんと女の子の絵がある絵本を父が買ってくれたのがお気に入りだった。
山梨県から大阪方面を眺めたくてもどっち方面かわからんかった。眺めて郷愁にひたりたかったけど4・5年生では無理だった。四方が山だらけの盆地で「大阪はどっち?」とよう聞かなんだ。
元々奈良が好きで家族や友人とよく出かけていたが、たいてい早く出かけて帰りも早かった。夫と暮らすようになってから夕方の奈良を楽しんで夜遅く帰る楽しみを知った。
ある年の9月、今夜は月見をしようと勤務先を出る前にお酒を温めて魔法瓶に入れ、電車に乗る前にデパートで弁当を買い奈良行きの電車に乗った。
飛火野までいくと、かなりの月見客がいたが7時ごろには帰っていき、わずかな人たちが月見の支度をしている。ススキを立てて、その下でお茶をたててる人もいた。月が出てきて浅茅ヶ原方面が怖いくらいの光と陰。鹿が静かに寝転んでいた。
老夫婦が茶をたてていて風流だった。でもわりとみんな早く帰ったので、鹿といっしょに残っているのが怖くなってわたしらも帰った。
数年後に姉夫婦と4人でおとづれたときは早い時間に行ったので、小道で葛の花を見ることができうれしかった。原っぱにいるのはいやだと義兄がいいお店に入ってうなぎをご馳走になり早く帰った。
いつかまた、奈良でお月見したい。