ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々』

ボリス・ヴィアンの小説『日々の泡』の翻訳(曽根元吉訳、新潮社)が1970年に刊行されたとき読んだ。哀しく美しい恋愛小説にこころを揺さぶられた。44年前のことだ。それ以来読んでいなかった。読むと哀しいから読みたくならなかったのだ。

ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々』は、ボリス・ヴィアンが感じて書いた物語を映像にして見せてくれて絶妙だ。
モノがそれぞれ生きていて暴れたり落ち着いたりしている。いろいろな人間が描かれる。わたしはなかでもジャン=ソル・パルトル(ジャン=ポール・サルトル)を表現するやりかたにイかれた。
1966年東京で元気なサルトルを見たことのあるわたしとしては、もう喝采するしかない。

そして、ロマン・デュリスとオドレイ・トトゥが恋人たちを演じて素晴らしい。その他の若い人たちもそれぞれ生きていて、語り、踊り、歌っている。
久しぶりに見た映画にこころ揺さぶられた。2013年のフランス映画。