我が家の古い本箱に吉屋信子の少女小説が何冊か入っていた。もう読まないから処分しようと思ったが古本屋に持っていくには汚すぎるのでゴミ袋に入れた。そこからこれは捨てられないと取り出したのが『紅雀』。戦争中に姉が大切に持っているのを読ませてもらった。わたしは疎開するとき持って行きたかったが「ダメ」と姉は離さなかった。それで疎開するまでの1〜4年の間に何回か読ませてもらった。
山梨県に疎開したからそれっきりになっていたが、20数年後、泉北に住んでいたとき駅前の本屋さんで見つけたのがいま持っている本だ。1977年ポプラ社発行。この本を読んでからいままで何度読んだろう。読むたびに深く共感している。
戦争中の厳しいときに、苦労した『紅雀』の主人公が最後に幸せになるのがどれだけ気持ちが落ち着いたか思い出す。読みたいといったら貸してくれた姉に感謝。でも姉は本をくれなかったけどね笑。
吉屋信子の少女小説はすべてというくらい読んでいるが、その中でいちばん好きなのが『紅雀』である。これからも何度も読むだろう。