吉田喜重 脚本・監督『嵐を呼ぶ十八人』

DVDを買ったときなぜか吉田監督2本目の映画と思い込んでいた。フィルモグラフィを確かめたら5本目で『秋津温泉』の次だった。『秋津温泉』(1962)は封切りで見ていて数年後に奥津温泉に行った。その後に見たのは『エロス+虐殺』で、その後はおととしごろまで吉田監督の映画はこの2本しか見たことがなかった。吉田監督に興味を持ち始めてから本も読み出した。いまはファンである。

『嵐を呼ぶ十八人』を予備知識なしでさっき見終わったところ。
52年も前の映画なのに白黒画面から怒りでもなく嘆きでもないただそこに生きている青年たちの姿が立ち上がった。
呉市の造船所の下請けとして働く島崎(早川保)は毎日の鬱憤を酒で紛らわしている。今日手配師(芦屋雁之助)が大阪から集めてきたのは不良たちの集団のような十八人である。彼らはだだっ広い空き地にある老朽化したカマボコ宿舎に入れられる。島崎は寮監として彼らの面倒をみることになる。彼らを嫌いだと言いつつ、彼らのあまりの不潔さに洗濯機を買ってきて洗濯さすうれしそうなところもある。
造船所で本工たちのストが始まるが彼らには関係ない。
疎外されっぱなしの彼らは気の赴くままに喧嘩し、飲み、遊び、最後は造船所の仕事がなくなり、北九州の新しい仕事場に向かう。
物語としては島崎と飲み屋の女主人の娘(たこ焼き屋台を出している)が十八人中の一人にレイプされる事件がある。二人は最後に結婚するのだが、広島球場でプロ野球試合のシーンがあり、映画の楽しさが味わえる。

それと・・・いろんなシーンで流れる十八人が歌う『アキラのズンドコ節』がよかった。実はわたしは『アキラのズンドコ節』が大好きで用事をしながらよく歌っているもので。