スチュワート・マクブライド「花崗岩の街」

作者のマクブライドという名前なんだけど、スコットランドの人かなと思ったのは「あしながおじさん」のジュディの友だちサリー・マクブライドがスコットランド人だったから。アタリだった(笑)。帯に「イアン・ランキンに好敵手誕生」とある。喜んで読み出したが、うーん、イアン・ランキンと比べたらかなり落ちる。だがイアン・ランキンのリーバス警部が最初に紹介されたのは脂ののり切った8冊目の「黒と青」だったから、第1作の「花崗岩の街」と比べたらマクブライドが気の毒だ。

リーバスのエディンバラに対して「花崗岩の街」のローガン・マクレイ部長刑事はアバディーンの警察官である。首都エディンバラ、人口の集中する大都市グラスゴーに次ぐ第三の都市がアバディーンで、北海油田の石油基地として発展した。たしかリーバス警部が北海油田へ捜査に行く物語があった。
でも、この本に出てくるのは貧しい地帯に住む人たちやその人たちの中の犯罪者によって起きた事件である。雨が降り続くアバディーンの街に起こった連続幼児誘拐殺人の捜査に病み上がりの疲れた体で立ち向かうローガン部長刑事。
(北野寿美枝訳 早川ポケットミステリ 1700円+税)
※第2作「獣狩り」が11月にハーパーBOOKSから出版予定。