いちばん楽しかった記事は翻訳者の松下祥子さんの連載記事の「ダルジール警視の好物」(ミステリヴォイスUK 第53回)だ。松下さんはヒルが亡くなったあとで日本の愛読者情報を知ろうとネットを見た。数は多くないがとても熱心で、感想をブログに綴っているひとも何人かいるのがわかった。わたしもブログを書いているので読んでくださったと知ってうれしい。というのはわたしが書いた「パーキンというお菓子を食べてみたい」に応じた「ダルジール警視の好物」なので。
【ホテルのテラスで。「濃いヨークシャー・ティーをポットで頼む。あと、パーキンもいいな」。パーキンは〈ヨークシャー名物の生姜と蜂蜜のケーキ〉と註がある。パーキン食べてみたい。(230ページ)】とわたしは書いている。
以上をふまえてパーキン(parkin)の作り方を教えてくださっている。パーキンにはいろいろなバージョンがあるが、黒糖蜜、オートミール、生姜を入れるのが特徴だそうだ。レシピが書いてあって、もっちりした黒いケーキができるそうである。わーっ、食べたい!
材料はなんとかなりそうだけど、うちにはオーヴンがないのでできない。そのうち誰かが作ってご馳走してくれるのを期待しよう。
ヨークシャー・ティーは製茶会社テイラーズの紅茶の銘柄だそうだが、日本で手に入るのかな。
その他、ダルジールの好物や作中で食べたものいろいろ。おいしそうなロースト・ビーフとヨークシャー・ブディング、ミート・パイ。そして、マトン・パスティー、イヴのブディング、スポッティド・ディッグなど名前も知らなかった食べ物の話や作り方があって楽しい。
(早川書房 876円+税)