もう1ヶ月になるが『剣客商売』をまとめて友だちにもらってもらった。名残惜しくてつい読み返したのがいけなかった。最初から読んで、読み終えてから結局3回持って行ったのだが、目は疲れる肩は凝るでおおいに疲れた。その上に別冊の「黒白」がすごくいいと聞いたので買ったら分厚い上下。ちょっと読み出したらきりがない。秋山小兵衛の若き日というより壮年期を描いており、妻のお貞との結婚生活、息子の大治郎が育っていく姿がとてもいい。
「黒白」はただ秋山家の物語というだけでなく、もう一人の主人公、波切八郎の物語でもある。八郎は小兵衛とどっちかというほどのすごい剣術つかいである。木剣で立ち会って小兵衛が勝った。それ以来八郎は真剣で勝負したいと思い続けて試合を申し込む。小兵衛は応じてその日に待っていたが八郎は現れなかった。武士の義理を捨ててしまった八郎は暗殺者の道を歩むようになる。女性に触ったこともなく剣の道に勤しんでいた彼に寄ってきたお信に惚れ込んでしまう。謎の女お信への純愛につい波切さんを応援してしまった。
一方、小兵衛はお貞と死に別れ、次の女には逃げられて、最後はおなじみの「おはる」と長く暮らすことになる。
いろいろあったお信と八郎が結ばれて幸せそうな最後のシーンがうれしい。
武士道と恋愛とが縦横に描かれた時代小説。楽しんだ。