山羊の乳入りどら焼き(わたしの戦争体験記 74)

昨日の寝しなに思い出したんだけど、戦争中に食べた山梨県のY叔母ちゃんの山羊の乳入りどら焼きのうまさったらなかった。Y叔母ちゃんは母の姉妹の4番目で、母の実家から歩いて2時間くらいのところで夫婦とこども2人で農業で暮らしていた。母たちの話ではあまり裕福ではなくて苦労しているらしかったが人柄は最高だった。わたしは自分が理解されている感じがして好きだった。

家の前に川が流れていて橋を渡ると家があった。
山羊を飼っていてわたしが行くと乳をしぼって飲ませてくれた。またそのミルクでメリケン粉を溶きフライパンでおいしいどら焼きを焼いて食べさせてくれた。気前の良い叔母さんで、高さ3センチくらいのを半分に切って、またその半分に切ったのを皿にのせてくれた。甘くてうまーい。その味をいまだに覚えている。
叔母さんは「おやき」といってたように覚えているが、ここでの話からいくと「どら焼き」だ。『家なき子』のルミ少年のイメージした「どら焼き」はこれだと今頃思い出した。ルミのはしぼりたての牛のミルクだった。叔母さんのは山羊だが、どっちも元気な動物のミルクをもらって食べたのだ。