先日から折口信夫「死者の書」を寝る前に読んでいる。ずっと昔に読んだ本でながらく忘れていたのを青空文庫で見つけた。iPad miniに移して読んでいるのだが、夜の読書にふさわしいしみじみとした物語だ。
ブロンテ姉妹、バーネット夫人からしばし離れて奈良の姫君に想いをはせる。
「中将姫」の絵本をこどものときに持っていた。絵本とはいえ仏教とかお経とか外国物を読むよりわかりにくかったが、蓮の糸で当麻曼荼羅を織り上げた話が不思議であると同時に神々しく、すごいことをしはったと思っていた。絵本の色づかいがまた独特の毒々しさを持っていて魅了された。継子いじめの話でもあって歌舞伎的だし。
そんなことを昨夜「死者の書」を読みながら思い出していた。
當麻寺には何度か訪れている。竹内街道を歩いて行ったこともある。いま思い出したが「死者の書」を読んだのはそのころだった。當麻寺の庭の石積みのところに長いこと座って、したしたという足音が聞こえるのを待っていたりした。