スティーヴン・ダルドリー監督『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

「リトル・ダンサー」(2000)「めぐりあう時間たち」(2002)「愛を読むひと」(2008)に続く「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011)。この4本でスティーヴン・ダルドリー監督の映画を全部見た。
映画の前はずっと舞台の仕事をしてきて、ロンドンオリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式の総合プロデューサーをつとめたそうである。

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は9.11で父親を失った少年の物語で、同名の原作(ジョナサン・サフラン・フォア NHK出版)の映画化。
「リトル・ダンサー」の少年が素晴らしかったが、今回もよかった。

オスカー(トーマス・ホーン)は9.11アメリカ同時多発テロで最愛の父親を失う。自分に閉じこもったオスカーは父(トム・ハンクス)のクローゼットで小さな花瓶を落として壊してしまう。その中に封筒に入った鍵があった。封筒に〈ブラック〉と書いてあったのをヒントとして電話帳でブラックという名を調べ、一人ずつ訪ね歩く。
母(サンドラ・ブロック)との間に溝ができる。近くに住む祖母とすこしつながりがあるのだが、ある日、祖母の謎の同居人(マックス・フォン・シドー)と出会う。同居人は話すことができないので筆談しながら二人は街を歩き〈ブラック〉さんを捜す。二人旅でお互いを知っていくところがよかった。オスカーは謎の同居人は祖父ではないかと推理する。

とにかく少年が可愛くて賢くて一生懸命で素晴らしい。母親はどうするかと見ていたら、とても素晴らしい母なのであった。
最初の〈ブラック〉さんが連絡してくれて、彼女の別れた夫を訪ねるのだが、そのエピソードもよかった。とにかく真面目な映画だった。