ギリアン・フリン『冥闇』

明日の〈第11回 関西翻訳ミステリー読書会〉の課題書、ギリアン・フリンの「冥闇」(めいあん)を8月半ばに買って読みかけたが挫折してしまった。読書会は明日6日である。
9月になってから慌てて読んだのだが、最初はいやいやだったのが後半に主人公のリビー・デイが好ましくなってきた。過去の事件のところをとばして〈現在のリビー〉だけを読み返すと、リビーに好意を持つにいたった(笑)。

〈1985年〉カンザス州で小さな農園を経営している母パティと兄ベンと姉2人とリビーは暮らしていた。父は離婚したのに金をせびりにきて暴力をふるう。

事件が起きたときリビーは7歳だった。母と姉ふたりが惨殺され、壁には悪魔崇拝の気味悪い血文字があった。15歳の長男のベンの犯行場面を見たとリビーは証言し、ベンは逮捕され終身刑を宣告される。リビーは遠い親戚をたらいまわしされて育つ。

〈現在〉アメリカ、カンザス州の小さな借家に住むリビーは31歳。身長147センチという小柄な女性。(わたしと変わらんやんとわたしは独り言-笑)
仕事はせずに善意の人たちによる寄付金で暮らしてきたが、たくさんあった寄付金はついに底をついた。ずっと寄付金の管理をしてきたジムは「・・・これからぼくたちは・・・新しい局面を迎えることになる」とリビーを呼び出して言う。
働くのはいやだしぐうたら考えていると〈殺人クラブ〉の会員ライルから連絡がある。クラブの会員たちはベンの無罪を主張していて、自分たちでも事件を解明しようと思っている。リビーがなにか提供すれば謝礼金が支払われると聞いたリビーは過去の殺人事件に向きあうことになる。

やっとベンに面会に行く気になってリビーは刑務所に行く。ベンはリビーを見て母にそっくりになったと言う。ベンの諦めきった穏やかな物腰と口調にリビーは真相を隠していると思う。
(中谷友紀子訳 小学館文庫 924円+税)