ノースキャロライナ州の小さな町の〈ドーナツ・ハート〉のオーナー、スザンヌ・ハートが主人公のシリーズ「ドーナツ事件簿」の3册目。
1册目は〈ドーナツ・ハート〉の店の前で殺人事件があったのだが、ミステリというよりもドーナツを食べたくなる本だとわたし以外のひとも言ってた。
2册目は、客たちを前にしゃれたキッチンへ出張してスザンヌがドーナツ作りを実演しているときに、悲鳴が聞こえる。〈ドーナツ・ハート〉のレモンクリームドーナツをひと口かじった女性が倒れていた。甘いながらも1冊目よりもかなりミステリに力が入っていた。
3冊目の今回も近いところで女性が殺されているのが発見されてはじまる。町はウィンター・カーニバルで賑わい〈ドーナツ・ハート〉も店の外にブースを出していて、スザンヌは客の相手をしていたとき悲鳴が聞こえた。
被害者はスザンヌの元夫マックスの愛人ダーリーン。その浮気のせいでスザンヌはマックスと離婚したのだが、マックスはダーリーンと別れたからと復縁をせまっていた。
心臓をキャンディ・ケイン(※いままで知らなかったのでウキペディアから引用(Candy Cane)は、硬い杖(ステッキ)の形のキャンディのことである。赤白の縞になったペパーミント味もしくはシナモン味のものが伝統的だが、味や色、厚みを変えたものも作られている。)でひと突きされて。但し、ここで殺人に使われたのはキャンディではなくて、同じ形で花壇のまわりに突き刺してあるやつ。先端に20センチのスパイクがついて凍った地面でも刺せる。
1冊目で恋人になった州警察捜査官のジェイクが亡くなった妻が忘れられないと謝りにきて、スザンヌはジェイクを諦める。
2回の事件関与で警察署長に睨まれたし、もう知らないと言っていたスザンヌだが、親友グレースが休暇中だからいっしょにやろうと急き立て調べる気になる。
グレースの家のドアが壊され中に誰かがいた気配があり、グレースはスザンヌの家にしばらく同居する。
雪が降る真冬の真夜中2時に店に行ってドーナツを作る毎日。助手のエマとふたりで頑張っている。朝早くから客がきて熱いコーヒーとドーナツで和む。
(山本やよい訳 原書房コージーブックス 857円+税)