ペドロ・アルモドバル監督 ペネロペ・クロス主演『ボルベール〈帰郷〉』

ペドロ・アルモドバル監督の映画を全部見たいとずっと昔に『オール・アバウト・マイ・マザー』を見たときから思っていたのに、なぜか『抱擁のかけら』と『バッド・エデュケーション』しか見ていなかった。しかも当ブログに『抱擁のかけら』の感想が見当たらない。書いてないはずないので探さなければ。

先だって相方が友人に勧められたのは劇場上映中の『ジュリエッタ』なんだけど、映画館にめっそいかないわたしらは昔から見たかったのにまだ見ていなかったのを家で見ることにした。『ボルベール〈帰郷〉』(2007)を昨夜大晦日から元旦にかけて見た。

ライムンダ(ペネロペ・クロス)は夫と娘のパウラと暮している。失業した夫は妻に冷たくあしらわれ、義理の娘のパウラに手を出す。抵抗したパウラは父親を台所の包丁で刺し殺してしまう。
ライムンダは泣いている娘から真相を聞き、夫の死体を隠そうと流れた血を拭き取り毛布に包む。そこへ近所のレストランの店長が来て、店じまいするから鍵を預かってくれと頼む。気付かれなくてよかった。

その地へ来ていた映画撮影の人がレストランのそばにいたライムンダを見て店の人と思い大勢のランチを頼む。ライムンダは友だちの顔を見るとパンやケーキを焼いてくれるように頼み、お金を借りて買い物に行きランチの支度をする。料理の手際がよくて新鮮な野菜がうまそう。

物語の展開が早い。殺人だけでなく死んでいたはずの人が出てきたりしてすごくおかしい展開。夫の死体は友人の手を借りて遠くへ埋めに行く。埋めたところにある大きな木の幹に墓碑銘のように文字を彫りつける。

撮影隊がレストランで打ち上げパーティするときライムンダは歌を歌う。それをじっと見る娘と姉と長いこと隠れていて現れたばかりの母親。姉の美容室でライムンダから隠れるところがおかしい。

『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続くペドロ・アルモドバル監督「女性賛歌三部作」の三作目。

映画『ジュリエッタ』を見る代わりに原作の本、アリス・マンロー 小竹由美子訳『ジュリエット』(新潮社 2400円+税)を読むことにした。昨日深夜アマゾンに注文した本が今日夕方届いた。すごい。