久しぶりに北欧ミステリを読んだ。振り返ればスウェーデンの作家ヘニング・マンケルの『殺人者の顔』を最初に読んだのが2001年(原作は1991年発行)。それ以来たくさんの北欧ミステリが翻訳されてきた。最初は出版されたらみんな読むようにしていたが、だんだん追いつかなくなり、全部読むぞという快挙は無理になった。いま振り返って16年経っているのかと驚いた。久し振りに読んだ北欧ミステリはおもしろかった。
デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンの第1作『特捜部Q 檻の中の女』を読んだのは2011年、すごく入れ込んで読んだのだが、犯行の残酷さにひるんで次作を買うのは控えた。犯行以上に被害者の意思の強さに揺すぶられ、特捜部Qメンバーの推理力、実行力に惹かれたものの、また今度とかいいつつ日にちが経った。今回は友人Sさんが貸してくださったのでこれ幸いと読んだ。やっぱり残酷な犯行が描かれ、それを追う特捜部Qのメンバー、カール・マーク警部補とアサドとローセの地べたを這うような捜査が描かれる。
発端はメッセージが入ったボトルだった。曲折を経て特捜部Qに届いたボトルからメッセージが発見される。ほとんど消えている文字を判読しアサドとローセが調査にのめりこむ。他の事件で働いていたカールがもどって加わる。残虐な犯人を気持ち悪く描いているところがあまり好きでない。だけど負けずに真っ当に生きようとする人間を応援する姿勢が基本にあるから、最後までしっかりと読める。(吉田薫、福原美穂子訳 ハヤカワ文庫 上下とも800円+税)