女性私立探偵コーデリア・グレイが主人公の作品は「女には向かない職業」と、この「皮膚の下の頭蓋骨」(1982)の2冊だ。20年以上前に2冊とも読んでいたが内容はすっかり忘れていた。先日ジュンク堂へ行ったとき本棚の間を散歩していたら目に飛び込んできたので買った。それがね、読み出したらおもしろいのなんのって、目が疲れるのもかまわずに読みふけった。昨日読了。
「女には向かない職業」の最後でニュー・スコットランド・ヤードのダルグリッシュ警部に呼び出されたコーデリアは秘密を抱えたまましっかりと耐え、もう帰っていいと言われるまで頑張った。
本書を読んだら、3回もダルグリッシュ警視の名前が出てきた! コーデリアはテームズ川に面した部屋の狭いベッドに独り寝だが、そこに姿を描く相手はただ一人、ダルグリッシュなのである。かりそめの狂おしい情熱はすでに終ったのだが。ひとりうなづくコーデリア・・・。
いまダルグリッシュ警視長はずっと上のほうにいる。「青い目の好男子で本庁のアイドルだ」と当事件を担当するグローガン警部が嫌みをこめて言うくらいの。
コーデリアは探偵事務所を続けていて依頼された仕事には誠意を持って取り組む。2人の助手がいて、仕事の中心は迷い猫の捜索である。
迷い猫を連れて依頼主の家に届けに行ったとき、居合わせた客(舞台女優のクラリッサ)がコーデリアの態度が気に入った。それでクラリッサの夫が仕事を依頼にコーデリアの事務所を訪れる。女優の妻に脅迫状が何通も届いていること、妻はこれからコーシー城の舞台に立つので、秘書・付き人として同行してほしいという依頼である。
ロンドンからスパイマスへ列車で、それからタクシーで波止場へ行ってランチに乗りコーシー島へ。コーシー城は濃い薔薇色煉瓦作りの重厚でしかも軽やかな城でコーデリアは一目で魅せられてしまった。
島を遺産相続したゴリンジは作家で1作目でベストセラー作家となり、その金で城を改修し劇場を作った。クラリッサはここの舞台に立つ予定である。クラリッサは勝手な女でコーデリアにも好き勝手を言う。
翌朝コーデリアはベッドの上で死んでいるクラリッサを見つけた。