アン・クリーヴス『青雷の光る秋』(1)

アン・クリーヴスの〈シェトランド四重奏〉の4作目「青雷の光る秋」を読み終えた。シリーズ最初の「大鴉の啼く冬」を2007年12月に読んで、「白夜に惑う夏」は2010年9月、「野兎を悼む春」は2011年8月に読んだ。おお、5年半かかって読んだんだ。
〈四重奏〉はこれで完結だが、本書の〈あとがき〉によると続編が今年の1月に出ているそうだ。翻訳してほしいなあ。

季節を変えてシェトランド諸島の四季とそこに住む人たちの暮らしが描かれる。ジミー・ペレス警部とロンドンから来て島で暮らしている画家のフランはゆっくりとつきあってきた。フランは島の有力者でペレスの旧友ダンカンと結婚して娘キャシーがいるが離婚している。フランとつきあううちにペレスはキャシーを自分の娘と思えるようになった。

今回、キャシーを実父のダンカンに預け、ペレスは両親に紹介するためフランを伴って自分の生まれたフェア島で過ごそうと悪天候の中を到着した。飛行機は大荒れでフランは死ぬ思いをした。彼女はそのときの気持ちを整理して自分と娘とペレスのことをスケッチブックに書きこんだ。

嵐で空からも海からも本島との交通が途絶えているが、島のフィールドセンターでふたりの婚約祝いパーティが開かれた。たくさんの島人が参加したが、その後にセンターの監視員アンジェラが殺される。孤島での殺人で犯人はこの島にいるはずだ。ペレスはひとりで捜査を開始する。
(玉木享訳 創元推理文庫 1200円+税)