ミロス・フォアマン監督『恋の掟』

これもTさんに貸していただいた映画でコリン・ファース主演作のところに入っていた。検索したら、なんとびっくり、ラクロの「危険な関係」の映画化(1989)であり、あのヴァルモンをコリン・ファースがやっている。さらに驚いたのはヴァルモンが本気で愛してしまうトゥールヴェル夫人役がメグ・ティリーなのだ。メグ・ティリーは「再会の時」(ローレンス・カスダン監督 1983)で、ベトナム帰りの麻薬の運び屋ウィリアム・ハートと最後に結ばれるちょっとぶっ飛んだ若い女性の役で記憶に残っている。レーザーディスクで何度も見た好きな映画だ。

しかし、コリン・ファースに遊び人の役は似合わない。どことなくコメディっぽい。が、当時の衣装がとても似合って馬に乗っても池に落ちてもカッコいいのであった。豪華なベッドで寝ている姿も美しい。
劇場シーンもパリの屋敷も田舎の屋敷も生活も着るものもすごい豪華で美しい。さすがにこの豪奢は人民を搾取して成り立っているんやなと思った。イギリスのお屋敷が出てくる映画は貴族は貴族なりに義務を果たしているという感じがする。単なるイギリスファンだからかもしれないが。

メルトゥイユ侯爵夫人(アネット・ベニング)は昔のフランス映画のジャンヌ・モローの印象が消えないから、だれがやっても気に入らないと思うが、美人ですねという印象。セシル(フェルザ・バルク)は重苦しい印象だったが、物知らずな少女が大人になっていくところを見せていた。
メグ・ティリーはヴァルモンに恋してしまった人妻役なんだけど、抑えているところがすごくよかった。コリン・ファースと演技していてほんとに恋に落ちたのがよくわかる。ふたりの間にこどもができたけど結婚はしなかった。