アン・ペリー『護りと裏切り 上下』(2)

サディアス・カーライアン将軍を妻のアレクサンドラが殺したことは間違いない。
弁護士ラスボーンの父ヘンリーに食事に招かれたヘクターは父子と話し合う。ラスボーンは、モンクがおこなった将軍の家族と使用人からの聞き取りでは、将軍は冷淡で退屈な男だったかもしれないが、浮気はしないし、金離れはよかったし、名声も高かった。理想の男と言っていい。しかも息子のことは心底かわいがっていたようだし・・・と話す。
ヘクターはやるせなく、ヘンリーの穏やかな話し振りに平素は考えないようにしている自分の孤独感や家族についての気持ちが胸に蘇る。ヘンリーは話の最後に、アレクサンドラの気持ちを推し量って語り、ヘクターに質問する。
「女性はどんなときにそれほどの衝撃を受けるものでしょう? 言い換えれば、それを守るためなら他人を殺してもいいと思うほど、女性にとって大事なものとはなんですか?」それから3人は考えながら会話を続ける。

モンクは聞き込み中に過去の記憶が呼び覚まされることがあり、警察にいたときの元部下に事件の書類を見てもらう。地方の事件の捜査にロンドンから派遣されていたのだ。この事件だと確信したところへ行ってみると、彼が愛した女性は別の人生を歩んでいるのがわかる。

ティップレディ少佐は捜査の経過がはかばかしくないのを知って、もう一度関係者に会いに行くようにいう。どういう口実でいくかまで知恵を出し、ひるむヘクターに「勇気だよ」とだめ押しする。ヘクターは苦手な上流階級のお屋敷をもう一度訪ねて話を聞く。そこで気付いた衝撃の事実。ついに突破口が開けた。

裁判の日が迫ってきた。
ふたりが探り当てた事実をもって裁判に臨む弁護士ラスボーン。
(吉澤康子訳 創元推理文庫 上下とも960円+税)