この映画が上映されたときから見たいと思っていた。ずっと忘れていたが最近は『キャロル』の監督ということもあって話題になっている。今夜はようやく見ることができすっきりした。
2002年製作だから14年前になるのか。そのころ仲良くしていたS嬢がすごくよかったと電話で言ってた上にオススメのメールや手紙をくれた。うんうんと空返事をしていたわたしはそのときなにを考えていたんだろう。ヨーロッパ映画をレーザーディスクで見ていた時代が過ぎて、映画はもうお腹いっぱいになっていたような気がする。
今夜『エデンより彼方に』を見て、あのときの彼女の心境を思いやった。激しい恋をしていた。
繁榮する50年代のアメリカ、コネティカット州ハートフォードの上流階級の主婦キャシー(ジュリアン・ムーア)は仕事人間の夫フランク(デニス・クエイド)と2人の子供がいて、できぱきと黒人のメイドを使って家事をこなし、広い庭には黒人の庭師が働いている。
ある夜、警察から「酒に酔ってトラブルを起こしたから保護している」と電話があり、キャシーは身柄を引き受けに行く。これが家庭崩壊の始まりだった。
フランクは仕事人間で昼食はランチミーティング、夜も会議中になにか食べるという忙しさだが、ある日帰る途中で映画館に立ち寄る。そのあとバーに入るがその店はひとりで来ている男性ばかりである。
キャシーは残業が続くフランクに夜の弁当を届けに会社に行く。夫のオフィスのドアを開けたら、夫が男と抱き合っているのを見てしまう。
キャシーの考えで病気のせいだろうと、フランクとともに医者に行くことにした。
フランクにはいらつく日々。ついに会社から休暇命令がきて、1カ月休みになりキャシーの考えでバカンスに出かける。
キャシーは黒人の庭師レイモンド(デニス・ヘイスバート)と心を通わせる。レイモンドと話すときは夫と話すときより楽しい。美術館で会って絵の話をして知的好奇心を満たすが、それが黒人と付き合っているとスキャンダルになる。
夫と別れることになり、レイモンドはキャシーとの件が引き金となってこの街で暮らせなくなり去っていく。一人で生きる決意をするキャシー。レイモンドが乗った汽車が去っていく。ホームで見送るキャシーの顔には希望がある。
ジュリアン・ムーアの髪型と衣装が素敵だった。