ダイアン・デヴィッドソンのクッキング・ママシリーズの16冊目。厚くて今回もいらいらはらはらしながら読んだ。このいらいら感がこのシリーズの特徴かな。
このブログでは、「クッキング・ママの供述書」「クッキング・ママの鎮魂歌」「クッキング・ママの遺言書」「クッキング・ママのクリスマス」「クッキング・ママのダイエット」に続いて6冊目である。
ずっと買って読んできて途中で買うのを忘れたのを図書館で借りたのが2回、いまはSさんが貸してくれるのを待って読んでいる。
毎回、物語が終った後にケイタラーの主人公ゴルディによるレシピがついているせいか、コージーミステリに分類されるが、内容はハードで女性探偵ものといったほうが当っている。
今回も優しい夫のトム(警察官)と前の夫との子アーチー(16歳になった)とケータリング業をしながら暮らしているが、アスペン・メドウの町に不景気の風が吹いて仕事が落ちこんでいる。そんなときにキューバ系アメリカ人のヨランダ(35歳の美人)から仕事をまわしてほしいと電話があった。彼女は大おばさんフェルディナンダを抱えて苦労している。フェルディナンダは無収入で車椅子生活である。ヨランダを雇うことにするというと、トムはつきあっている人間が悪いと遜色をしめすが、結局は好きにやればいいとトムは折れる。
ヨランダが借りていた家が放火され全焼した。私立探偵アーネスト・マクラウド(元優秀な警官)の家に身を寄せるが、ここも不審火で焼け出され、マクラウドは射殺される。マクラウドのやっていた仕事は、動物愛護活動家の依頼で金儲け主義の“仔犬工場”を閉鎖に追い込むことだった。
仔犬を9匹連れたヨランダとフェルディナンダがゴルディの家に居候することになる。
今回はゴルディはもちろんだが70歳を越えたフェルディナンダが大活躍。車椅子に隠した特殊警棒で気の食わないやつはがつんとやる。彼女はキューバのラウル・カストロの軍隊で狙撃手だった。車椅子に座っていても体を鍛えるのは当たり前。革命前のパティスタ政権のときはハバナのカフェで料理人をしていた。カバーの写真が彼女のつくった料理プエルコ・クバーノ(キューバ風豚肉料理)、うまそう。
(加藤洋子訳 集英社文庫 1100円+税)